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民主党はなぜ官僚に完敗したのか!?~霞ヶ関「悪魔の支配力」の正体~ 第2回 vol.1

[週刊大衆07月30日号]

役人の世界でも"原子力ムラ"は健在。発送電分離も破綻処理もできないまま強引に原発再稼働へ突き進んだ内情。

6月初旬の夜8時半頃、東京電力本店に近い、新橋の盛り場のある飲食店に、3人組の背広姿の男たちが現われた。小誌記者はその中の一番年上の男に名刺を差し出し、こう切り出した。

「原発の再稼働の件について、ご意見をお聞かせいただきたいのですが……」

しかし、相手の男はいかにも不機嫌そうな表情を浮かべ、部下らしき2人は、
「ぶしつけに失礼だぞ」といって、私を店外に連れ出した。

記者が直撃したのは、東京電力本店の原子力設備セクションのエリート部長。よく来店するというその店で待ち伏せしていたのだが、前代未聞の原発事故が起きたこの期に及んでも、上から目線の尊大さは相も変わらず。彼らは政府や官僚と一体となっており、国家権力そのものといっても過言ではないのだ。

それから約1カ月後の7月5日、福島第一原発の事故原因などを調べてきた国会の事故調査委員会(黒川清委員長)が、事故の根源的な原因は、「"自然災害"ではなく、明らかに"人災"である」と断定した報告書を公表。

そして、東電を「自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する黒幕のような経営体質」と指摘した。

これまで政府の事故調査・検証委員会の中間報告や、東電の社内調査報告が示してきた「非常用電源の喪失は津波による浸水が原因」とする見方も否定。

「1号機では地震の揺れによる小規模の冷却材喪失事故が起きていた可能性がある」として、「東電は、官邸の誤解や過剰介入を責める立場にはなく、そうした事態を招いた張本人である」と断言しているのだ。

事故から1年4カ月余、いまだに16万を超える人たちが福島県内外で避難生活を余儀なくされ、不安な毎日を送っている。彼らにとって、この検証結果は当然すぎる内容だっただろう。

自民党時代から電力業界が政治と密接な関係を保ち、原発政策を立案、実行してきたことは広く知られているが、民主党も電力会社の労働団体とは関係が深かったのも事実。政権交代以前から、原発の海外輸出を政策の目玉にしてきた。

この"密接な関係"の代表例が、天下りだ。

電力業界は、エネルギーと産業を統括する経産省から大量の人材を受け入れ、さらに各種の関連公益法人にも資金を配分し、そこをも天下り先としてきた。つまりは、飴と鞭を使い分け、さらなる癒着体質を作り上げてきたのである。

元財務官僚の経済学者・髙橋洋一氏は、こう語る。

「官僚も原子力ムラの恩恵にあずかっています。端的にいうなら、経産省の資源エネルギー庁長官をやれば、だいたい電力会社に天下れる。これは、官僚の利権でもあるわけです」

ある経産省OBが、同省と東電の関係を次のように話す。

「いうなれば、同じ穴のムジナですね。個人的にも深いつき合いの友人同士が少なくない。
でも、事故後に"誰の責任か?"という話になったときに、東電は"国の責任だ"と主張。というのも、法律上は"天変地異があった際には免責される"という条項があるからです」

東電は"責任を負わない"というスタンスを取ったわけだ。そうなれば、国に批判の目は向けられる。

「叩かれるのが嫌な経産省は、東電に全責任を押しつけたい。"形だけでいいから全責任を被ってくれ。その代わりに守る"と経産省が頭を下げたんです。銀行にも根回しして、経営の危ぶまれる東電に資金が回るようにしました」(前同)

だが、国民の糾弾が集中すると、経産省は東電を裏切り、「東電を悪者にする」という方向へ舵を切った。つまり、枝野幸男経産相は東電を叩くことで正義の味方を演じたというわけだ。

なんともドロドロとした水面下の攻防に見えるが、これもただの"ポーズ"にすぎない。経産省と電力業界は本質的には利害が対立せず、むしろ"お仲間"。だからこそ、首相官邸を数万人が取り囲むデモが毎週開催されるなど、反対の声が根強い大飯原発の再稼働へ踏み切れたのだ――。

07月24日公開のvol.2に続く・・・。

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