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霞が関悪魔の支配力「橋下VS官僚」vol.1

[週刊大衆08月06日号]

消費税増税と原発の再稼働……。野田首相が政権発足後1年で推進してきたのは、これだった。

「命懸けで消費税増税を実現する」

国のトップは自信たっぷりにこういい切ったが、彼は明らかに命を懸ける相手を間違えている。

「それだけの覚悟があるなら、本来は高級官僚たち、既得権益をガッチリ握る連中と大ゲンカをすればいいんです。しかし、その相手は恐いから、最も弱い立場の庶民を狙い撃ちにしている。消費税は財務省の、原発再稼働は経産省の言いなりで、結局、官僚のシナリオに従っているだけ。これが野田政権の実態です」

こう怒りをぶちまけるのは、一昨年まで将来を嘱望された元厚生労働省のキャリア官僚・Y氏である。

こうした政治家の立ち位置を熟知し、あらゆる手口で"誘導"してきたのが霞が関村の住人たちだ。これまで述べてきたように、ある意味で彼らの力の源泉は、"国益"を上回る"省益"の死守にあるといっていいだろう。

その省益の代表格が「天下り」である。官僚たちはこの強固なシステムを守るために、権限と予算を決して手放そうとはしない。

周知のように、出身官庁が所管する外郭団体や関連法人に天下りした官僚OBは、次々と高額な退職金を手にしながら、数年ごとに団体などを渡り歩く。これが俗にいう「渡り」である。

こうした天下り法人のデタラメぶりは、しばしばメディアを騒がせてきた。

2010年11月、内閣府が公表した調査で、公益法人のうち30法人が「無報酬」としてきた非常勤役員33人に、実際には「隠れ報酬」を支払っていたことが発覚した。

その代表例として挙げられるのが、経産省所管の財団法人「石油開発情報センター」。「非常勤の会長は無報酬」と公表しながら、実際には役員報酬とは別に、「謝金」という名目で年間1300万円を「隠れ報酬」として支払っていた件である。

こうした公益法人の多くは批判をかわすため、定款で「非常勤は無報酬」と決めている。だが、コトが表沙汰になりそうになると、「だったら常勤にしてカネを払えばいいんだろ」と開き直りとも取れる態度に転じ、非常勤役員だった官僚OBを一夜にして常勤にしている。

「石油開発情報センター」も例に漏れず、週3日勤務の非常勤会長だったA氏を週5日勤務の常勤に変更し、年間1110万円の報酬を払うことを決めた。

「あのセンターは92年の設立以来、隠れ報酬システムをずっと継承しており、歴代会長ポストは旧通産省OBの指定席です。しかも、経産省からは独立行政法人を介して、年間7億円の補助金も流れています」(経産省OB)

確かに、同センターの歴代会長には、審議官、中小企業庁長官、特許庁長官、関東通産局長といった旧通産省の大物OBが名を連ねている。

なかでも、通産省版"渡りの帝王"といわれてきたのが、初代会長の故・橋本利一氏である。

「通産省でナンバー2の審議官に上り詰めた彼は、79年に退官すると、石油公団総裁、破綻前の長銀の顧問などを歴任しました。98年の長銀破綻後には、彼個人の年間1億円を超える諸経費の実態が白日の下に晒され、批判が集中しました」(全国紙経済部デスク)

また、同センターの会長就任と同時期に、旧通産省関連法人の会長や理事長を兼務し、多額の報酬も得ていた――。

そもそも、天下りは省庁の人事システムに組み込まれている。関連法人のポストは、いわば所管する省庁の"縄張り"なのだ。当然、天下り先のOBが恥をかかないように、省庁から関連法人や民間企業には仕事や予算が振り分けられる。そこに生まれるのが省庁と業界との癒着であり、税金の無駄遣いなのだ。

こうした状況の改善に、安倍内閣も菅内閣も乗り出したが、結果的に省益確保に必死な官僚の前になす術はなく、根本的な解決には遠く及んでいない。

というよりも、民主党政権の実態は、この"省益"を守るための官僚の"誘導"に巧妙に絡め取られる過程だった、といってもいいだろう。

08月03日公開のvol.2に続く・・・。

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