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“ネット選挙解禁”の裏で進行するITブラック企業の「無限労働」地獄絵図 vol.1

[週刊大衆7月29日号]

去る4月19日、公職選挙法が改正され、今回の参院選で初めて解禁の運びとなった“ネット選挙”。
安倍晋三首相はフェイスブックを日夜、更新し、橋下徹日本維新の会共同代表はツイッターで舌鋒鋭く所見を発信し続けている。

輝かしいITの可能性を体現する政治家たちだが、「光強ければ、影も濃し」は世の常。
その“影”を詳しく知るのが、NPO法人POSSE代表の今野晴貴氏だ。これまで1500件以上の労働相談に関わり、『IT企業という怪物』(7月16日発売)の共著者でもある。

「いま、世間では“ブラック企業問題”が話題になっていますが、このブラック企業という言葉を生み出したのは、IT企業の労働者たちなんです」(今野氏)
その言葉は、05年頃にインターネット上にスラング(隠語)として出回り始めた。今野氏が続ける。
「IT業界の働かせ方は異常に過酷で、つまりブラックだったから、この業界から広がったんです」

その典型的事例が、底ナシの長時間労働。有名な新興IT企業の子会社A社の元社員・田端愛さん(28=仮名=以下同)が言う。
「朝8時半出勤で、夜10時退社。毎日が平均して13時間労働。残業代は1円も支払われませんでした」
時間外労働100時間分は、給料に最初から“込み”にされていたという。
「さらに、ほぼ毎日、持ち帰り残業。土・日には休日中のタスクリストを作成して家で仕事をこなし、休み明けには上司に報告をしなくてはいけませんでした」
半年経たずに血尿が出てうつ病を発症、後に退職。現在はリハビリの日々だ。

彼女が被害に遭った、残業代を基本給に含めて残業代の支払いを拒む手法は、「固定残業代」と呼ばれる。
労働者にタダで時間外労働を強いる手口として、ブラック企業の間で常態化しているものだ。

また、パワーハラスメント、いわゆるパワハラもIT業界では日常茶飯事だ。
職場の地位を笠に罵詈雑言を連発。従業員に甚大な精神的苦痛を与えて屈服させ、経営者に逆らえないようにするのが目的だ。

先の田端さんは毎日のように上司から、
「見ていてイライラする」
「頭の回転が遅い」
と言われ続け、3時間も続けて説教されたこともあった。理不尽な叱責に泣き崩れてしまった際には、
「仕事ができないうえに泣くとか最悪。負の根源だ」
「お前の脳ミソは虫以下なのか?」
とキレられたというから、凄まじい。

別のIT企業B社に勤めていた鈴木兼吾さん(23)も同様の被害に遭った一人。
「人間として根本的におかしいから、感謝の気持ちを考えなさい」
「コンプレックス、自分史を書いてこい。生まれてから何をしてきたか考えろ」
「リボーン(生まれ変わり)させたい」
と、頻繁になじられた。

さらに、このB社では、「度胸をつけるため」とナンパ研修(駅前でのナンパを強制)、坊主頭でジャージーを着ての出社、お笑い研修(多くの社員の前で一人でコント)、セクハラなどが横行。社員教育という名のもと、業務とは無関係に精神的ストレスをかけ続ける「人間破壊」が日夜、繰り返され、鈴木さんは入社1年を経ずして「退職」という形で同社を追われた。

7月23日公開のvol.2に続く・・・

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