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日本シリーズ伝説ヒーロー20人 Vol.1

[増刊大衆11月26日号]

79年の日本シリーズ最終戦。

若き名将・古葉竹識監督率いる広島カープと老将・西本幸雄監督率いる近鉄バファローズの戦いは、両者譲らぬまま3勝3敗で、第7戦までもつれ込んだ。

11月4日。
最終決戦の地は、大阪・難波の中心部にあった大阪球場。
近鉄・鈴木啓示、広島・山根和夫の先発で始まった試合も、両者譲らぬ好ゲーム。
4-3で広島が1点リードという状況で、最終回を迎えた。

9回裏、広島最後の守り。
運命のマウンドを託されたのは、7回から登板した抑えのエース・江夏豊。
1点を守り切れば、広島は初の日本一が確定する。

だが、江夏は最大のピンチを迎える。
近鉄の先頭打者・羽田耕一が中前打で出塁。
代走の藤瀬史朗が二盗を試みると、捕手の水沼四郎が悪送球で無死三塁。
アーノルドが四球を選ぶと代走の吹石徳一が二盗。
広島が満塁策を取ったため、あっという間に無死満塁。
ヒットはおろか、犠打や四死球、ワイルドピッチも許されない絶体絶命の状況に。

次は投手・山口哲治の打順。
近鉄は前年の首位打者・佐々木恭介を代打に起用。
江夏としては絶対に三振に取りたい場面だ。

佐々木に投じた3球目、三塁線を襲った強烈な当たりは、ファウルの判定。

これで命拾いした江夏は、佐々木を三振に斬って取る。
これでワンアウト。

一死満塁の状況で、打順はトップの石渡茂に戻る。
1ストライクのあと、運命のシーンが訪れる。
どうしても1点が欲しい近鉄ベンチは、ここでスクイズのサインを出したのだ。
投球動作に入った時点では気づかなかった江夏だが、投げる途中でスクイズを見破り、投げようとしたカーブの握りのまま、リリース直前にスクイズ外しのボール球に切り替える。
江夏でなければできない高度な技。
石渡のバットが空を切る。
スクイズ失敗。

三塁ランナーの藤瀬が憤死し、ツーアウト。

江夏は、打席の石渡をそのまま三振に斬って取り、ゲームセット。

この瞬間、広島の日本一が決定。

江夏はマウンド上でジャンプし、女房役の水沼と抱き合った。
自ら招いたピンチを自らが刈り取った投球術は、ノンフィクション作家・山際淳司によって「江夏の21球」と命名され、いまも語り継がれている。

12月05日公開のVol.2につづく・・・。

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