日刊大衆TOP 社会

日中台激突!! 漁師たちの「尖閣マグロ戦争」壮絶修羅場 vol.1

[週刊大衆6月24日号]

「日本政府は、俺たちがいままで大切にしてきた漁場を外国に売ってしまったんだよ。尖閣沖に漁に出てもいいけど、そこには俺たちより大きい台湾の船がウヨウヨいるから、とてもじゃないけど安心して漁ができない。俺たちはいったい、どうすればいいんだよ……」

長年、尖閣周辺の海域でマグロ漁を営む「第11善幸丸」の名嘉全正船長(54)は、声を震わせながら、こう吐き捨てた。
「沖縄近海で獲れる本マグロは近海マグロの漁獲高全国3位。黒潮がもたらす豊かな栄養分により脂の乗りがよく、魚体も180キロから大きいもので300キロを超えるものも珍しくない。1本数百万円の高値で競り落とされることもあります」(沖縄県水産課職員)

"宝の海"から締め出されてしまった名嘉氏ら沖縄の漁師が、怒りを露わにするのも無理はない。

3年前、尖閣沖の領海を侵犯した中国魚船と海保庁の巡視船の衝突事件以来、注目を集める尖閣諸島を巡る日中台の軋轢。それはいまや、漁で生計を立てる沖縄の漁師の生活を根底から揺るがしているのだ。

沖縄漁師の生活が深刻の度を増したきっかけが、今年4月に締結され、5月10日より施行されている日台漁業協定だ。同協定によって、いまや尖閣周辺の海域は、台湾籍の漁船で埋め尽くされているという。
「わずか12平方キロメートルの範囲の漁場に、5隻もの台湾漁船が所狭しと、ひしめき合っているあり様ですよ。締結後、台湾側と細かなルールを決める話し合いが持たれましたが、実際は何も決まらず、施行日を迎えました。台湾側は協定をカサに、わがもの顔で漁をしている。我々は、まったくの泣き寝入り状態ですよ。しかも、なんで本マグロの漁の稼ぎ時に締結されたのか。我々は年間の収入の半分近くを4~6月末までのマグロ漁で得ている。政府に対しては怒り以外、ありませんよ」(石垣港を母港とする八重山漁協関係者)

ここで、日台漁業協定を簡単に説明しておこう。
「民主党政権時、国交のない日本政府と台湾政府の間で関係発展を目指し、幾つかの協議が持たれました。そのひとつが、棚上げになっていた日台漁業協議でした。4年ぶりに再開された協議を安倍政権が引き継ぎ、今年4月に締結されたんです」(沖縄地元紙記者)

ところが、この協定、まったくもって"本末転倒"だった。地元漁民との調整役である沖縄県水産課の職員も、困惑の色を浮かべる。
「通常、協議を重ねルールを決めてから締結ですが、締結ありきで、あとからルールを決めようというものでした。国(水産庁)の職員が来て、漁民たちに説明した際、"順序が逆だろ!"と罵声が飛ぶほど、漁民たちは怒っていましたからね」

国会で日台漁業協定の不備を追及している沖縄県選出の衆議院議員・赤嶺正賢氏がいう。
「長らく、日台の漁業関係者の間で、マグロ類以外の漁についてルールを決める話し合いが持たれていました。それを足掛かりに、マグロ類のルールが決まればと思っていたところに、突然、政府主導で漁業協定が締結されてしまい、それまでの話し合いの場が壊れてしまったのです」

しかもこの協定、台湾側に"大きく譲歩"する結果となったというから驚く。
「今回の協定では、台湾が主張する暫定執法線より、さらに石垣島寄りの海域で、台湾漁船と共同で漁をすることが決まったのです。政府は、尖閣海域という好魚場を自ら手放したも同然ですよ」(赤嶺議員)

なるほど、これでは台湾の主張を丸呑みしたうえ、"ノシ"をつけて返してやったようなものだ。八重山漁協の上原亀一組合長が、溜め息まじりに説明する。
「5月10日以降、八重山漁協所属の船は、あの海域に漁に行くのを自粛している。台湾漁船が操業している尖閣沖に行けば、漁具の交差、具体的には、はえ縄が絡むトラブルが起きることが目に見えているからね」

沖縄近海の本マグロ漁シーズンは、毎年4月半ばから6月いっぱいの約2カ月半。漁師は、この時期に年収の半分近くを稼ぐ。

尖閣沖での日本と台湾の本マグロ漁は同じだ。テレビ番組で紹介されて有名になった大間(青森)の一本釣りとは違い、はえ縄漁。はえ縄の長さは60キロにも及び、1500を超える擬餌針がついている。
「我々は無線を使い海上で船同士、安全な間隔を取り、皆同じ方向に仕掛けを投げるから縄が絡まない。ところが台湾の連中は、そんなことはお構いなし。どうしたって縄同士が絡み合う。縄が絡むと、縄を勝手に切って一目散に逃げていく。結局、日本の漁師は泣き寝入りするしかない。はえ縄は一式500万円以上する高価なもの。だから、台湾船に近づけないんだよ」(前出・八重山漁協関係者)

6月20日公開のvol.2に続く・・・。

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.