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軽井沢バス事故でわかった深い闇…バスドライバーたちの「もう限界」過酷な勤務

[週刊大衆2016年02月08日号]

軽井沢バス事故でわかった深い闇…バスドライバーたちの「もう限界」過酷な勤務

 1月15日深夜、長野県軽井沢町で起きたスキーツアーバスの転落事故。前途ある若者15人の痛ましい死とともに明らかになったのは、ドライバーたちの過酷すぎる労働環境だった。「バスの運行会社『イーエスピー』は、運転手の健康状態などを確認する出発前点呼も行っておらず、過労運転の疑いがある乗務員も複数人、確認されています」(全国紙社会部記者)

 一般的に夜間長距離バスは、運転手2人態勢で深夜に出発し、早朝に目的地に到着。現地でバスの清掃作業などを行い、仮眠を取った後、別の乗客を乗せて、また出発地に戻る。「目的地に到着しても、その日の深夜には出発。雑務をこなすと、睡眠時間は3時間あるかどうか。バスにも仮眠室はありますが、棺桶同然の狭さで、熟睡などできません」(元運転手) さらに事故当時、バスを運転していたのが「長距離経験がほぼない」(前出の記者)65歳であることも明らかになった。これに「年齢制限を設けるべき」と憤るのは、トラック運転手でライターの長野潤一氏だ。「体への負担が大きい夜間長距離バスの運行を、65歳の運転手に任せるのは大変危険です。さらに、大型バスの運転も不慣れとあっては、正直ありえません」

 こうした背景には、過度の価格競争があるという。「今回の件では法定運賃の下限は往復26万4000円ですが、契約金額が19万円だったという事実も発覚。そのしわ寄せは、すべて運転手へいき、休みなく働いても月給25~30万円なんてケースもあります。若者は集まらず、低い賃金に甘んじざるをえない高齢運転手が、必然的に多くなるんです」(前同)

 さらに、運行計画自体、安全性よりも経費節約が最優先だったという。「全線高速利用ではなく、全体の3分の2を一般道で走る計画でした。これだと6200円の節約になるんです。こうした運行を毎日続けるという計画自体が危険だと言えます」(同) 加えて、会社側が高速代の上限金額を定めていた可能性も長野氏は指摘する。「事故の運転手は、計画では東松山で一般道に下りるはずが、その先の藤岡インターまで高速を使っていました。同業運転手の話では、“休憩予定地の高坂SAがいっぱいで止まれず、東松山を過ぎた上里SAで休憩したのでは”とのこと。予算オーバーした高速代の帳尻を合わせるべく、松井田妙義から軽井沢まで一般道を走ったのでは」

 仕方なく、運転手の間でも危険なことで有名な碓氷バイパスを走行。前途ある若者と過酷労働に苦しむ運転手が犠牲となったのだ。だが、こうした現代版『蟹工船』とも言える労働環境は、今やドライバー業界では常識だという。「06年度に過労死と認定された355件のうち、トラック運転手は74人と約2割を占め、ダントツ。宅配ドライバーも、通信販売の普及による再配達の増加で、荷物の量は変わらないのに労働量は増える一方です。職安には運送業の求人があふれていますが、給料も安く、人手は集まりません」(前出の記者) 過酷な環境で死ぬまで働かされる――。“もう限界”と叫ぶドライバーたちの心の声は届くのだろうか。

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