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ここまで進化した!日本の「がん治療」最前線 vol.2

[週刊大衆11月05日号]

同じく、これらの放射線療法とは別の角度から、まさに「究極のピンポイント攻撃」が期待されるものとして、注目を集めているのが「免疫療法」である。
『東京ミッドタウン先端医療研究所』が、すでに実際に行なっている、免疫細胞の一種「樹状細胞」を使った「樹状細胞ワクチン療法」が、その代表格だ。

同研究所所長である田口淳一医師が、その原理を解説する。
「樹状細胞は、リンパ球をはじめとするがんを攻撃する働きを持つ免疫細胞に、異物を認識させ、それを攻撃させることができます。そこで、そうした性質を利用して、患者の白血球を培養して樹状細胞にして、それにがん細胞だけが持つ"特殊な目印(がん抗原)"を覚えさせ、患者の体に戻すのです」

がん免疫療法は1960年代から行なわれている。しかし、この樹状細胞などの「第4世代」が出てくる00年代までは、患者の免疫力を底上げするだけで、がん細胞をピンポイント攻撃するものではなかった。

この最新療法は、樹状細胞に、がん攻撃の指令を出させる「がん抗原」の優劣が治療効果に直結するというが、同研究所では、ほぼすべてのがんを攻撃する目標となる「WT1ペプチド」という人工抗原などを用いている。

ちなみに、まだ保険適用外なので、治療費は約200万円ほどかかる。
その肝心の効果だが、がん細胞の縮小、進行停止が確認されたのは、約3割とのこと。ほかの療法ではお手上げだったがん患者の3割に効果があったというから、すごいことなのだ。
ただ、効かない患者も少なくないのは、どういうわけなのか?

これはたとえば、がんがかなり進行し、5センチほどの大きさになっている場合、がん細胞は10兆個もあるという。これに対して、この方法で細胞を培養しても、その数は多くて100億個程度。つまり、多勢に無勢というのが理由のひとつ。
「それに、この療法では、樹状細胞が指令を出し、リンパ球などが、がん細胞を攻撃するようになるまで、3カ月ほど時間を要します。そして、その間、がん細胞自体、微妙に変異していくからです」(田口所長)

これまで見てきた「放射線療法」「免疫療法」のほかには、今年5月に国内で発売開始された肺がん治療薬『ザーコリ』も注目だ。これまでの「化学療法(抗がん剤治療)」は、がんだけでなく、正常細胞にまでダメージを与えていた。だが、「分子標的薬」の一種であるこのザーコリは、正確にがん細胞を狙い撃つ。
「分子生物学の進歩により、特有の分子(遺伝子)に働きかけ、がん細胞を殺すのではなく、増殖や転移を抑えることができるようになったんです。ザーコリで、がん細胞が半分以下に縮小した患者が90%以上という、驚異的効果が報告されています。ただ、残念なことに、これに適した遺伝子を持つのは、全肺がん患者の4%だけなんです」(前出・牧氏)

だが、今後、有力な分子標的薬が、次々と出てくることが期待される。

最後は「ビタミンC多量投与療法」だ。代替療法の一種で、「科学的に証明されていない」との批判もないわけではない。

11月02日公開のvol.3に続く・・・。

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