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【武豊】まずは目の前のレースに全力を傾けます

[週刊大衆2016年05月23日号]

 ゴールデンウィークも終わり、いよいよ、ダービーまで3週間。競馬サークル内では、調教師の先生たちも、スタッフも、騎手も、ライバル陣営を強く意識しながら、虚実入り乱れた暗闘を繰り広げているのだろうなと思っている方が多いようですが……それはうがった見方をする雑誌の見すぎです(苦笑)。

 一度しかチャンスのない夢の舞台に向けてハードなトレーニングを積むのはもちろん、スタッフは、健康管理にも細心の注意を払っていますが、ピリピリした感じはほとんどありません。いつもと同じムード。いつもと同じ挨拶。いつもと同じ会話。変な緊張感は、馬にも伝わりますから、いつもと同じが、本番で力を出すための基になります。

 僕ら騎手も同じです。この時期は、皆さんが想像するほどあれこれ悩んでもいないし、テンションも高くはなっていません。車の運転をしている時、なんとなくダービーのことを思ったり、食事をしながら位置取りを想像したり。3週間前は、まだ、その程度です。スポーツ紙や週刊誌、ネットのほうが、競馬サークルよりはるかに盛り上がっているような気がします。

 春のGIウィークも今週から後半戦。今は、ひとつでも多くGIのタイトルをパートナーにプレゼントしてあげることに気持ちを集中させています。そのひとつ。今週末、5月15日には、マイル女王を決めるGI「ヴィクトリアマイル」が東京競馬場を舞台に行われます。枠順の内、外が原因で、記念すべき第1回の優勝を逃した06年(パートナーはエアメサイア)から、リベンジのチャンスがめぐってきたのは3年後の09年。パートナーは、今も皆さんに愛され続けている名牝中の名牝、ウオッカでした。

 敵は……ウオッカ自身の体調。ライバルたち。そしてもうひとつが、瞬間風速15.9メートルの向かい風です。レース前は、早めに先頭に立つと気を抜く癖があるウオッカにとって、これが最大の障害になるだろうなと思っていたほどでした。ところが、そんな心配はまったくの杞憂。結果はJRA古馬マイル史上最大着差となる7馬身差。タイムもレースレコードと完璧な優勝を飾ってくれました。負けるときは、惨敗に近いのに、勝つときは、ドラマチックで、ファンの心を揺り動かすような走りを見せる。それが、ウオッカのウオッカたる所以だったように思います。

 あれから7年。今年の僕のパートナーは、GIII「東京新聞杯」、GII「阪神牝馬S」を連勝しているスマートレイアーです。初めて彼女に跨った時から、「いつか大きな勲章を手にすることができる能力を秘めている」と語ってきましたが、ついに、その時がやってきた! という思いがふつふつと湧いています。レース当日は、僕の気合い乗りが良すぎて、馬に余計なプレッシャーを感じさせないこと(苦笑)。それができれば、結果は黙っていても付いてくるはずです。

■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GⅠ制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

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