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巨大積乱雲 スーパーセルが呼ぶ「殺人竜巻」戦慄予測 vol.2

[週刊大衆6月17日号]

実は、記憶にも新しい昨年5月6日に発生した茨城県つくば市の竜巻は、スーパーセルと結びついた典型的な殺人竜巻といえる。

この日、同市の地表付近の温度は25度を超えていたのに対し、上空はマイナス19度以下だった。
「最大の被害地である同市北条地区は、爆撃されたような惨状でした。飛ばされた一軒家が、基礎を上にしてペチャンコに潰れている様子は、ショック以外の何物でもありません」と語るのは、当時の様子を現場で取材したジャーナリストの有賀訓氏。

「5階建て集合住宅のほぼ全室の窓ガラスが吹き飛び、室内に散乱。巨木は根こそぎ倒れ、厚い強化ガラスすら粉砕されていました。犠牲者1人が奇跡と思えるほどです」(前同)

これだけの大惨事となるも、"竜巻版震度"ともいうべき「藤田スケール」(vol.3)では、6段階中、上から4番目の「F3」でしかない。
「竜巻の強度を表わす国際指標にもなっている藤田スケールは、シカゴ大学の藤田哲也教授によって考案されました。アメリカでは、これを改良して使用しており、オクラホマ州のケースは6段階中の最大強度となっています」(全国紙気象担当記者)

実は過去、日本では各地で竜巻被害を出しており、近年でも死者が出るケースは決して珍しくない(vol.4を参照)。

アメリカでの竜巻発生頻度が年平均1300個に対し、日本が17個――この数字だけを見れば、安心なようだが、国土面積当たりの件数に換算すると、わずか3分の1でしかない。

わが国は、決して竜巻と疎遠な国ではないのだ。

気象庁気象研究所は、この5月初め、スーパーコンピュータを使った21世紀後半の竜巻の発生予測結果をまとめた。それによると、現在、日本で年に5~6個発生している「F2」以上の竜巻が、最大3倍にもなるという。

気象庁によると、1991年~2012年での都道府県別の竜巻発生数で最も多いのが、沖縄県で41個。以下、北海道(34個)、高知県(24個)、宮崎県(22個)、鹿児島県(21個)である。
「北海道を除けば、温暖な沿岸部で多く発生していることがわかります。とはいえ、広島や岡山といった内陸部、あるいは、冬季の日本海側の各地域でも竜巻は頻発していますから、いつ、どこで起きてもおかしくないんです」(前同)

前述の都道府県別発生件数を面積当たりで数えると、さらに怖ろしい状況が見えてくる。沖縄がダントツで1位なのは変わらないが、それに続くのが、東京都と千葉県という、人口が密集する首都圏なのだ。
「昨年の"つくば竜巻"も、スーパーセルの進路が、少しでも南西にずれていれば、都内を襲っていた可能性が高い。気象庁が招集した有識者会議においても話題に上り、騒がれたほど、"都心直撃"は現実味を持って怖れられているんです」(同)

前出・有賀氏も、「この日(つくば竜巻)のような大気状況は、近年の夏によく見られる」と懸念を示す。

猛暑となるこの夏、首都圏に竜巻が襲来する可能性も否定できないというのだ。
「竜巻の特性上、地表面の高さがバラバラな場所では発生しにくいといわれています。そのため、高層ビルが立ち並ぶ都心部では、発生することはないと思われますが、低層住宅が密集する住宅街は被害に遭う可能性が十分にあるんです」(気象庁関係者)

特に被害が大きくなると予想される地域は大地震が起きた際に火災が発生しやすい場所と重なるという。
「東京の下町東部の木造住宅が密集する場所は、建物自体の強度も弱い。そのため、全壊してしまうケースが相次ぐはずです」(前同)

甚大な被害をもたらす竜巻による被害を防ぐために、どうすればいいのか。まず肝要なのは、前兆を知ることだ。

気象庁によると、竜巻接近時は、〈空が急に暗くなる〉〈気圧が急激に変化し、耳に異常を感じる〉〈大粒の雹が降る〉といった現象が見られるという。では、実際に起こってしまったら? 前出・全国紙気象担当記者が解説する。
「竜巻が発生してから逃げるのは非常に困難です。昨年のつくば市のケースを例に挙げると、その被害幅は約500メートル。それが時速60キロで、方向を定めず移動していましたから……」

過去、日本の竜巻で移動速度が時速130キロに達したものもあるという。

すでに竜巻が視界に入っている場合、どのような行動を取れば、リスクを下げることができるのか。船瀬氏が解説する。
「外では、突風で吹き上げられた様々な物体が飛んで来て危険ですから、屋根のある構造物に逃げ込むか、くぼみなどに身を伏せてください」

その際、注意したいのが建物の強度。前述したように、木造建築物では丸ごと吹き飛ばされてしまうため、コンクリート製などを選ぶとよい。

しかし、建物内部に逃げ込んだからといって、すぐに安心はできない。
「風や飛来物によって窓ガラスが割れ、その破片で大ケガをする可能性があります。それを防ぐために、まずはカーテンを閉め、そのそばから離れる。自宅であれば、布団を被ることも有効です」(前出・有賀氏)

行く手にあるものをすべて吹き飛ばし、蹂躙し尽くす殺人竜巻。今夏、日本に出現する前に、しっかりと対策を取っておきたい。

6月15日公開のvol.3に続く・・・。

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