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トラック野郎が本気で仕掛けた「対アベノミクス全面戦争」 vol.1

[週刊大衆6月17日号]

"トラック野郎"たちが燃えている。
「アベノミクスの副作用がここにきて顕著になっています。円安の直撃を受け、トラックの燃料である軽油価格が高騰しているんです。"これでは走れば走るほど赤字だ!"と、関係者は爆発寸前です」(運送業界関係者)

5月上旬には、怒り心頭のトラックドライバーの間で、「トラック数百台を動員し、国会議事堂を取り囲んでデモをする」との噂も流れたほどだった。

限界まで追い込まれた彼らの心情を代弁すべく、国内業者の8割(約5万1000社)を組織する全日本トラック協会(全ト協)も立ち上がった。

5月23日、自民党本部に協会員約800人が押し掛け、『燃料価格高騰経営危機突破全国総決起大会』を開催。トラッカーたちの窮状を訴えたのだ。

同大会では星野良三会長が、「このままの状態が続けば、経営収支やドライバーの労働条件など一層の悪化を招き、わが国の経済活動、国民生活のライフラインとしての役割を維持できなくなる」と警告。

同協会HPの〈燃料高騰でトラックが止まる!〉との悲痛な文言が、改めて突きつけられたわけだ。
「トラック物流が1日でも止まれば、生活必需品から産業用資材の流れが大混乱に陥り、スーパーやコンビニにも商品が入らない。庶民の生活は致命的な打撃を受けるでしょう」(前出・運送業界関係者)

こうした声を、安倍政権はどう聞くのか……。
「先の総決起大会では、当面、これだけはということで、4点の対策を実現してほしいと決議しました」(全ト協広報室)

具体的には〈燃料費を補填する補助金の創設〉〈燃料価格監視の徹底〉〈燃料サーチャージ導入の促進〉〈軽油引取税緊急減税の実現〉の4点だ。

最初の2つ〈燃料費の補填〉〈価格監視の徹底〉に関して、軽油価格の暴騰ぶりには驚くべきものがある。

03年の店頭価格平均で1リットル83・2円が、実に131・9円(13年5月27日調べ)にまで上がっている。
「わずか1円の軽油価格の上昇が年間170億円もの負担増になる」(星野会長)というだけに、深刻きわまりない問題だ。また、トラック運送の全コストに燃料費が占める割合は20%に達し、「この比率が長距離になればなるほどハネ上がり、40%に達することもある。1円の値上がりが死活問題なんです」(経済紙記者)

燃料費の値上がり分を運賃に上乗せ(サーチャージ)すればいい、という声もあるだろうが、そうは問屋が卸さない。
「発注側の荷主企業が納得するはずがない。"燃料高騰分を運賃に転嫁したい"なんて匂わせようものなら"じゃあ、ヨソの会社にするわ"となることは必至です」(都内のトラック業者)

現役トラック運転手で、トラックジャーナリストの長野潤一氏も、こう嘆く。
「この業界は過当競争が一番の問題。ダンピングが行なわれて、利益が出ないところまで運賃が下がっています。荷主は要求も高く力を持っているから"お前なんか、もう来なくていい"といわれればそれまでです」

また、軽油引取税(1リットルにつき32・1円)に関しても、業界の不満は募る一方だという。
「軽油引取税は本来、道路特定財源として、"道路補修に使う。ドライバーは道路を使ってるんだから払え"という税金でした。しかし、09年から一般財源化されて"道路だけじゃなく、どの用途にも使うけど払え"となった。農業や漁業など他業種で軽油を使っても徴収されないのに不公平ですよ」(前出・都内業者)

ちなみに、12年度の国全体の軽油引取税の納税額は8902億円。その6割以上、5388億円をトラック業界が納税している。

高騰する燃料費を運賃に転嫁できず、税金も軽減されない。こうして運送会社の経営が圧迫されれば、そのしわ寄せは現場で汗を流すトラックドライバーたちにいくことになる。

北関東のトラック会社に勤めるAさん(46)がいう。
「給料カットは日常茶飯事です。業界全体が厳しいので、それは甘んじて受けますが、会社の燃料使用規定がかなりシビアになって、体力の限界ですね」というのも、燃費節約のためのアイドリングストップを手始めに、休憩中のエンジン停止など事細かくチェックされるのだ。
「以前、仮眠中にエアコンが使えず、熱中症になりかけたこともありました。会社では、熱中症防止のためにと梅干を配ってくれてはいますが……」(前同)

Aさんが勤める会社は、各車ごとにデジタルタコグラフを設置。速度やエンジンの回転数などが記録されるほか、いつ走って、いつ休んだか、さらに仮眠中はエンジンを切ったのかまで打ち出されるという。
「毎度毎度評価されてストレスが溜まる一方です。一度、エアコンをつけたまま仮眠したら、給料から8000円引かれました」(同)

6月14日公開のvol.2に続く・・・。

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