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国民が知らない「日本国憲法のタブー」大研究 vol.1

[週刊大衆6月10日号]

就任以来、経済政策がことごとく奏功し、絶好調の安倍政権。7月の参院選でも圧勝が予想されるが、選挙の争点となるのが、憲法改正の発議要件を定めた「憲法第96条の改正」だ。
「長年、憲法改正論議はタブーとされ、これに挑戦した政治家の多くは、ことごとく敗れ、葬り去られてきました。そのタブーに、安倍首相が不退転の覚悟で挑むわけです」(政治評論家・浅川博忠氏)

ちなみに憲法96条とは、【この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする】(条文中の数字は算用数字に改めた=以下同)というもの。

安倍首相は、この「3分の2以上」を「過半数」に変更しようというのだ。

96条とは要するに憲法を変えるための規定。これを改正するということは、「憲法を変える仕組みを変える」ことを意味する。
「衆参両院の"3分の2以上"ではあまりにもハードルが高く、有事の際、憲法規定に縛られて的確に動けません。これでは国益を損ないかねないとし、安倍政権は、改憲の第一歩として、まずは96条改正へと踏み出したんです」(前同)

これまで、憲法を巡っては「"平和憲法"があるから、日本人は平和に過ごせた」との声がある一方、「現代に即した内容に変えるべき」と国論が二分。
「わが党は結党以来、"憲法改正をもって国民の負託に応える"ことを党是としてきました。ですから、これまで、そうした議論をしてこなかった総裁は怠慢で、安倍総理は、当然のことをしているまでです。96条の改正を危険視する人々には、国民投票で有効投票の過半数の賛成がなければ憲法は改正できないことを理解してほしいですね」(自民党中堅議員)

とはいうものの、憲法をすべて理解している国民も多くはないだろう。以下、1947年(昭和22年)5月3日に施行された(成立は前年10月7日)日本国憲法の実像に迫ってみたい。

日本国憲法は、全103条と前文からなる。
「第98条の第1項を要約すると、憲法とは法律の上位概念。あらゆる法律は、憲法に明記されている理念に適合していなければなりません。また、同第2項に【条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする】とありますが、これでは条約と憲法のどちらを優先するのか判断できません。日本国憲法には、こうしたどっちつかずの記述が多いため、解釈を巡り、しばしば"神学論争"が巻き起こるんです」(司法担当記者)

また、憲法には国民と国家の"契約書"という意味合いがあることを、ご存じだろうか。
「原理的に、遵守の義務を負うのは国会議員や公務員たち。対して現行憲法では、一般国民は、憲法が保障する数々の権利で守られる立場にあるんです」(前同)

護憲派と呼ばれる人たちは、「憲法で国家権力側の行動を国民が制限する」機能を重視するため、改憲規定である96条の変更に難色を示しているようだ。
「ただし、世界の主流は3分の2ではなく、過半数で改憲が成立するもの。過半数を採用している国はカナダ、イタリア、デンマーク、スイス……など多数。一方、日本と同じ3分の2以上という国は米国、ドイツなどです。とはいえ、いずれの国も憲法改正は頻繁にあり、半世紀以上、一言一句変更なしの日本は、世界では特異な存在といえます」(前出・自民党議員)

現在までの主要各国の改憲の回数は、米国18回、ドイツ47回(西ドイツ時代含む)、お隣り韓国が9回、フランス24回、イタリア15回。スイスは140回超、メキシコにいたっては408回(!)となっている。

外交評論家で杏林大名誉教授の田久保忠衛氏は、「憲法改正の必要性は強く感じています」と前置きして続ける。
「たとえば、大規模自然災害が起きた際、どのように対処するかという規定さえ憲法には盛り込まれておりません。具体的には、一昨年の東日本大震災の際、憲法に非常事態条項がないことから、時の首相が電力会社に怒鳴り込むという大失態を招きました」

田久保氏は、来るべき大規模自然災害の際に国民の生命・財産を守ろうとするのであれば、憲法改正が不可欠であると説く。

前出の浅川氏も、「現憲法が時代に適さなくなってきているのは事実です。たとえば、私学助成金問題。これが、政府が特定宗教や教育機関におカネを出してはいけないという憲法の規定に違反しているのは、第89条の【公の財産の支出又は利用の制限】を読めば明らかです」

憲法の施行から半世紀以上、66年も経過し、制定当時にはなかった様々な問題が噴出している。それを解釈の問題にして、騙し騙し運用しているのが日本の現状というわけだ。
「解釈次第でいかようにもなるため、"法の番人"といわれる内閣法制局が幅を利かせている。彼ら官僚は、憲法で規定される側の人間です。そうした人間が憲法の解釈権を一手に握っているというのは、非常に危険。だから、改憲して明瞭かつ時代に合ったものにしなければならないんです」(自民党憲法調査会関係者)

6月7日公開のvol.2に続く・・・。

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