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安倍首相「消費増税延期」決断の舞台裏

[週刊大衆2016年06月20日号]

安倍首相「消費増税延期」決断の舞台裏

「危機に陥ることを回避するため、しっかりと対応しなければならない」6月1日、安倍晋三首相がこう力説して表明した、消費増税の2年半の再延期。低迷する昨今の経済状況や4月に発生した熊本大地震の影響で、「世論的には増税延期は当たり前の空気になっていた」(全国紙記者)が、実は永田町では魑魅魍魎(ちみもうりょう)の駆け引きがあった。全国紙記者が続ける。「特に大きく抵抗していたのが財務省の麻生太郎大臣や官僚らでした。膨張する社会保障費は増税以外では賄いきれないとしており、実際、今回の増税見送りでフイとなった5兆6000億円の社会保障費のメドは立っていません」

 それを押し切る形で増税延期を決めた安倍首相の念頭にあったのは、衆院を解散して今夏の参院選と同日に目論んでいたW選である。「安倍首相は増税見送り表明の記者会見で、参院選の目標を“与党での改選議席の過半数”としましたが、本音は、安倍首相悲願の憲法改正に必要となる参議院議員の3分の2の確保。それを実現するためにも、国民に分かりやすいアドバルーンを上げる必要があったんです」(同)

 本来は、安倍政権の“一丁目一番地”と言える「アベノミクス」を看板に戦うつもりだったが、「その根底を揺るがす円高が輸出産業の衰退を導き、それに伴って経済が低迷。増税はそれをさらに強め、安倍政権の寿命を縮めると判断したんです」(前同) そのため、今年3月にノーベル経済賞学者で増税反対派のクルーグマン氏を招き、黒田東彦日銀総裁も交えて行った会談は「その“最終調整”だった」と自民党関係者は内幕を明かす。

「昨年10月に1度目の増税延期を決断したとき、安倍首相は“再び延期することはない”と、きっぱり言い切った。なので、前言撤回をするための“大義名分”を欲して、経済界の権威に相談したんです」(前同) 同時に、安倍首相が麻生財務相を説き伏せる材料も、やはり選挙だったという。「衆参W選で大勝を収めるための政治材料が必要だと説き、渋る麻生さんを説得したようです。増税延期発表の直前に、麻生さんが“(衆議院は)解散すればいい”と言ったのは、自分のメンツを守るためでした」(同)

 これですべて丸く収まったかに見えたが、ここで衆参W選に強硬に反対する御仁が現れた。公明党の山口那津男代表だ。「公明内部でW選の対応ができていないとして強く反対したそうです。安倍首相としては、公明党の増税反対派を山口代表に抑えてもらったという“借り”もあるし、創価学会の組織票なくして大勝は望めない。それまで衆参W選を一緒に進めていた菅義偉官房長官や二階俊博総務会長も、これで一気に参院選一本に切り替え、安倍首相もW選を諦らめざるをえなくなりました」(政治部デスク)

 安倍首相が声を強めて表明した消費増税延期。しかし、国民生活への思いよりも、“幻の衆参W選挙”の対策だったというのがホンネだったようで……。

安倍首相「消費増税延期」決断の舞台裏

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