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大仁田厚「“人生あきらめるなよ”ってことを、リングで表現したい」~想像を超える人間力

[週刊大衆2016年07月25日号]

大仁田厚「“人生あきらめるなよ”ってことを、リングで表現したい」~想像を超える人間力

 4回も引退を繰り返して、俺自身、ろくなもんじゃないことはよくわかってる。それでも、いまだにリングに上げてもらって、現役の選手たちと試合できるのは、ありがたいね。同世代で、リングに上がっている選手は少ないからね。そんな中で、年間150くらい試合に出させてもらえるんだから、感謝しかない。

 わざわざ、俺の試合を見るために地方から東京に来てくれるファンもいるんだよ。そういうやつらは、99%男なんだけどね(笑)。でも、“一か月くらい離れると、どうしても会いたくなる。禁断症状が出てくる”っていうから、幸せじゃない。この年になってもさ、ファンに水ぶっかけたら、熱狂してくれるんだもん。もちろん、俺のことを嫌いな奴もいっぱいいると思うよ。大仁田は賛否両論あるって言われるしね。でも世の中さ、100%の支持率なんてありえない。俺を拒否する奴は拒否すればいい。媚びるつもりはない。

 金は、食えるだけあればいいし、金を儲けようなんて思ってないからね。リングに上がるのは、強さを証明するためでもない。俺はドツボにハマって、ヘコむことだってたくさんあるし、弱い人間なんだと思う。リングに上がるのは、表現をしたいから。“人生、あきらめるなよ”ってことを。みんなが99%ダメだと言ったとしても、自分の感性で、1%でも成功の可能性があると思えば、それに賭けるべきだと思う。だから、感性と感覚を非常に大事なものだと思っているし、人間っていうのは、それがなければ、いけないでしょう。

 27歳のときに、自分の限界を感じて、引退した後、宅配便とか、ゴミ収集とかいろんな肉体労働をやって食っていた時代もあったけど、やっぱりプロレスをあきらめきれずに、リングに戻った。悪いことかもしれないけど、俺はしつこいんだ。でも、別にしつこくてもいいだろう、たった一度の人生なんだから。何事も失敗することなんてたくさんあるんだから、失敗は男の肥やし。やらないことを選ぶんなら、俺はやることを選ぶ。それだけなんだよ。

 俺は“ミスタープロレス”なんて言われたくないんだよ。殿堂入りみたいな扱いにされたくない。俺には、次があるんだから、燃え尽きたって言ってリングを去りたくない。“次は何をしてくれるんだろう”って、見ている人に思ってもらえるようなものを、常にリングに残さなきゃ。やっぱり、次々に人の想像つかないものを投げかけていかないと。

 岡山での試合では、リングにロケットが飛び込んでくるんだよ。恐らく世界初だと思う。ウケるウケないっていうのは、やってみるまでわからないんだから、しょうがないところだと思う。ファイヤーデスマッチのときは有刺鉄線に、火をつけたんだけど、ウケないどころか、火が強すぎてリングが燃えちゃった。最後までリングで戦おうとしていたシークが、全身の60%に火傷を負ってしまって、大変だったよ。あの頃は、根性あったよね。俺も、一人で新日本に乗り込んだときには、足にナイフを忍ばせていたからね。命がけだったよ。

 当時は、川崎球場で5万人集めたり、大人数の前でやることがいいなと思っていたんだけど、最近は自分の声が届いて、観客の顔が見えるような場所でプロレスをやるのが好き。500人くらいの会場で、自分の表現するものが、全部相手に伝わるような空間がいいな。今は、子どもたちをリングに上げて、水をぶっかけてやるんだ。不思議なことに、それで子どもが変わるらしいんだよ。それまで引っ込み思案だったのが、成長したって親から言われる。やっぱり、プレロスっておもしろいなって改めて実感したよ。

 還暦で引退するってことは決めているので、その後どうするか。でも、それを今言ったらつまらないでしょう。リングを下りても、また、想像もつかないようなことをやっていくから、楽しみにしていてほしいね。

撮影/弦巻 勝


大仁田厚 おおにた・あつし
1957年10月25日、長崎県生まれ。73年に全日本プロレスに入門し、ジャイアント馬場の付き人となる。82年には、NWAインターナショナル世界Jr.ヘビー級王座に。89年に自らの団体『FMW』を立ち上げ、ノーロープ有刺鉄線電流爆破マッチで一躍、脚光を浴びる。99年には新日本プロレスに殴り込みをかけ、話題に。01年には参院選に出馬し、当選。07年に政界を引退。現在は、「プロレス地方創生!イジメ撲滅!」をテーマに全国各地のリングに上がっている。

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