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【武豊】大種牡馬の死で思い出すヤンチャ娘

[週刊大衆2016年08月22・29日合併号]

 昭和の大横綱・千代の富士(九重親方)の訃報が報じられた前日、アメリカの大種牡馬、シーキングザゴールドが老衰のため亡くなっていたというニユースが飛び込んできました。31歳。サラブレッドとしては大往生です。

 父は1987年、88年のリーディングサイヤーに輝いたミスタープロスペクター。日本でもお馴染みのフォーティナイナーやブライアンズタイムと同期で、88年に行われた「トラヴァーズS」……米三冠に次ぐレースで、開催が夏であることから、“ミッドサマーダービー”とも呼ばれているレースで、3頭が激突。1着フォーティナイナー、2着シーキングザゴールド、3着ブライアンズタイムという成績を残しています。見たい! という方は、ネットでレース映像を見ることができるので、検索してみてください。

 代表産駒は、あのシェイク・モハメド殿下をして、「彼はゴドルフィンが所有した過去最高の馬」と言わしめた00年のドバイワールドカップ優勝馬、ドバイミレニアム。そしてもう一頭、僕にとっては忘れられないパートナー、名牝、シーキングザパールがいます。いい意味でも、悪い(?)意味でも、彼女は飛び抜けた存在でした。

 忘れもしません。あれはデビュー2戦目、中山競馬場で行われたG3「新潟3歳S」です。スタートのタイミングが合わずに大きく出遅れたうえに、何をどう勘違いしたのか、外ラチに向かって一直線。「うそやろぅ!」

 叫んだときには、僕以上に顔をひきつらせたお客さんの顔がはっきりと分かるほどの所まで迫っていました。長く騎手を続けていると、いろんなことを体験しますが、あんなに怖い思いをしたのは、後にも先にも初めてです。

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