日刊大衆TOP 社会

特殊清掃員が見た「多発 熟年孤独死の衝撃現場」 vol.1

[週刊大衆12月31日号]

《都会の孤独死 独居男性死後1カ月発見されず》

人の繫がりが希薄になり、個人個人がバラバラに生きる現代。それを象徴するかのように、孤独死のニュースを耳にすることも少なくない。自室でひっそりと死を迎え、誰にも気づかれずに冷たい床に横たわり続ける孤独な最期……。

「可哀相に。家族や話し相手もなく、寂しく生きてたんだろうな……」

多くの人は、そんな同情の気持ちを抱くことだろう。現在、独り身の中高年男性の中には、決して人ごととは思えぬ"危機感"を覚える方もいるかもしれない。

なぜ家族や友人と連絡を取らなくなったのか。

内閣府がまとめた2011年度版『高齢社会白書』によれば、孤独死とは〈誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置される〉ことと書かれている。

今回、こうした現場で、故人の"悲しい痕跡"と日々向き合う「特殊清掃員」に話を聞いた。孤独死から見えてくる、現代ニッポンの闇に迫る――。

※※
孤独死と思われる遺体が発見されると、その後、いかなる作業が行なわれるか、読者諸兄はご存じだろうか。

まず一報を受けた警察による検死が行なわれ、その後、遺体は一度、所轄の警察署に運ばれていく。死因を含め、事件性の有無を調べるためだ。
「その遺体が運ばれたあとの部屋を遺族や大家、不動産管理会社などの依頼により、原状回復するのが私たちの仕事です」

こう語るのは、遺体処置や特殊清掃の専門会社『ヒューマンケア(株)』で現場清掃を担当する男性社員・Yさんだ。

同社が自殺や孤独死した部屋の清掃を本格的に手掛けるようになったのは平成12年から。いまでは同業他社も使う「特殊清掃」という言葉を生み出した会社でもある。現在、Yさんはゴミ屋敷などの清掃を含め、年間約100件の特殊清掃をこなしている。

Yさんは本誌取材の数週間前にも、孤独死した70代男性の部屋の特殊清掃を行なったばかりだという。
「トイレも風呂もない6畳間に小さなキッチンがついた木造アパートでした。依頼した甥っ子さんによると、故人は元公務員で、ずっと独身だったそうです」

検死した警察によると、死因は衰弱死。Yさんが現場に到着したとき、遺体はすでに警察の安置所へ送られていた。
「部屋の状況からして、おそらく死後1週間近く経っていたと思います。亡くなる直前にベッドから落ちたらしく、ベッド脇のカーペットには人形の"死痕"がくっきり残っていました」

人が死ぬと、何が起こるのか……。

徐々に表皮が腐り、少しずつ体液が漏れ始める。室温や密閉性など部屋の状況にもよるが、夏ならばわずか1日、冬であれば1~3週間で腐敗が始まるという。
「人間の体には水分以外にも脂肪分、つまり脂が想像以上に多く含まれています。遺体が腐敗していく過程で、水と油が混じったドロドロの液体が浸み出し、死痕ができるんです」

凄まじい現場を数えきれないほど経験してきたYさんは、あくまで淡々と語る。
「ちょっと生々しい話になってしまいますが、腐敗すると必ずウジが湧き、ハエが飛び交います。閉め切ってある部屋でも、なぜか現われるんです。私も不思議なんですが……」

こんな状態になると臭いも強烈で、部屋中に異臭が満ちる。
「人の腐敗臭は、食肉が腐った臭いともまた違う、独特な嫌な臭いなんです。こんな部屋で1時間も作業をすれば、自分の体にも臭いが染みつき、周りの人がすぐ気づきます。当然、コンビニなんかにも行けませんから、昼食や飲み物は作業前に用意しておきます」

Yさんたちの仕事は臭いとの格闘でもある。

まず、部屋に染みついた腐敗臭は、強力な脱臭効果のある専用の消臭機材を使って、2~3週間かけて抜く。和室の場合、襖や畳にも臭いが染みついているため、すべてを取り替えることになるという。
「汚損した床や壁は専用の洗剤で丁寧に洗えば、ほぼ元どおりになりますが、腐敗臭を完全に消し去るのは本当に難しいんです」

遺体で汚れた室内を徹底的に掃除し、強烈な臭いを数週間かけて抜き、部屋を元どおりにする――これが特殊清掃という仕事だ。
「誰でもいつかは直面する死ですが、人間は本能的に死を忌み嫌います。いまは私も仕事だからと感情に蓋をして作業をできるようになりましたが、最初に現場に行ったときは、ショックで動けませんでした。それでも、この仕事は誰かがやらなくてはいけません。それがたまたま私に回ってきたのだと、最近は考えるようになりました」

事実、特殊清掃は消臭と清掃の特別なノウハウと同時に、強い覚悟がなければとても務まらない仕事だ。実は経済的な見返りも、それほど大きくないという。

12月27日公開のvol.2に続く・・・。

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.