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特殊清掃員が見た「多発 熟年孤独死の衝撃現場」 vol.2

[週刊大衆12月31日号]

人の死と向き合う覚悟をもって特殊清掃の任に当たるYさん。この仕事を通じて、普通に暮らしていては見えない、現代を生きる人々の"本当の姿"を数多く知ったという。

70代の男性が孤独死した都内マンションでのこと。
「男性は親族と連絡を絶っており、その暮らしぶりは誰も知らなかったそうです。私たちが部屋の清掃をしていたら、引き出しの中から、きれいにまとめられた手紙の束が出てきました。それは、男性の兄弟らからのものでした。紙が変色するほど古くなっても、大事に取ってあった手紙――疎遠になっていても、どこかで家族に繋がりを求めていたんでしょうか」

また、アパートで孤独死した40代の中年男性の父親から部屋の修復を依頼された際には、息子に先立たれた老父の切ない心情が垣間見えたという。
「特殊清掃を依頼する遺族の方で、生々しく壮絶な死の現場を見ようとする人はまずいません。電話だけで、すべて済ませたいと考える遺族のほうが多い。ところが、態度も口調もぶっきらぼうだったこのお父さんは、ハエと腐敗臭に満ちた部屋に入ってきて、"オレにも手伝わせてくれ"とおっしゃったんです」

気持ちを察しつつも、まだ"死の臭い"が色濃く残る部屋に入れば大きなショックを受けると感じたYさんは、その申し出を一度は断わった。だが、「これでも息子の父親なんだ……オレはもう息子にしてやれることはないんだから、やらせてよ」というや、父親は黙々と作業を手伝い始めた。そして手を動かしながら、独り言のようにYさんに息子のことを話したという。

「子供の頃から気が優しくて、何事にも控えめだった。そこそこの企業に就職したんだが、競争社会と人間関係のストレスに疲れてアパートに引きこもるようになってね。そのあげく、体を壊して孤独死したみたいだ……」

亡くなった息子さんは、奇しくも当時のYさんと同じ年齢だった。作業が終わったとき、父親は「これ、少ないけど」とYさんのポケットに千円札をねじ込んだ。
「なんだか悲しくも懐かしい気持ちになったことを覚えています。子供の頃、夏に"アイスでも買いな"と、百円玉を握らせてくれた父親のことを、ふと思い出したんです……」

こうした特殊清掃に携わっていると、依頼主であるはずのアパートの大家から、「こんなことになって!」と八つ当たりされることもあるという。
「まあ、でも、気持ちはわかるんです。アパート経営者にとっては、住人が自殺したり、孤独死すると大変です。臭いの問題もあるし、嫌がってアパートの住人すべてが出ていってしまった例もありますからね。ただ、人の繋がりがなくなっているのは実感します。昔みたいに住民が大家さんに毎月家賃を持っていくような、顔を合わせる関係があれば、迷惑と思うより先に"○○さん、可哀相に"という同情の気持ちが生まれるでしょうが……」

また、孤独死ではないが、"孤独な死"がYさんの目に強く焼きついた現場があるという。

初老の男性が古いアパートで首吊り自殺をし、そこを管理する不動産会社から依頼をされた。

故人は生活保護を受給していたのだが、部屋には日本酒の空き缶が山のように積まれ、灰皿は吸い殻でいっぱい。馬券や車券も散乱していた。
「生活保護をもらいながら、酒とタバコとギャンブル三昧。あげくが自殺かよ……」

部屋に入ったYさんの胸には、そんな気持ちが湧き上がってきた。
ふと壁に貼ってあったカレンダーが目に入った。その日付に「○」と「△」と「×」が毎日つけられていた。「×」が圧倒的に多く、「○」はまばらだった。

それが、ある日を境にすべて「/」と斜線が引かれていた。よく見てみると、最初に「/」が引かれていたのは、自殺したと思われる日だった。
「ハッと気づいたんです。『○』は気分がよかった日、『△』は普通かまあまあ、そして『×』は陰鬱で不本意だった日、じゃないのか。そして、最後には絶望を覚え、カレンダーの残りの日付に『/』を引き、死を選んでしまったんじゃないのかって……」

12月28日公開のvol.3に続く・・・。

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