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元交通警察官が明かした「デタラメ交通取締り」カラクリ vol.2

[週刊大衆4月22日号]

この誤摘発が起こった裏には、レーダーを使用する前のずさんな試験方法の問題がある。
「レーダーの使用前に走行試験をするんですが、この試験は道路を走る一般車両にレーダーを当て、車輛の大きさごとにレーダーが反応する地点を確認するために行ないます。使用機械が"正確な速度を表示するのかどうか"を確認する目的でやるのではありません」(佐々木氏)

この試験方法に、鶴田氏はNOを突きつける。
「本来ならパトカーや白バイを公道で走らせて、レーダーが捉えた速度が実際の走行速度と一致しているかどうかを確認しなければならないでしょう。その試験さえしていれば、栃木県警のような悲惨なミスは起きなかったはずです。それどころか、宇都宮署の警官は測定した数値に絶対の自信を持っていたらしいですからね」

実際に再審が行なわれた宇都宮簡易裁判所で、誤摘発の被害者の一人に当時の状況を聞くと、「私は何度も警官に、"そんなスピードを出した覚えはない!"と主張したんですが、まったく耳を傾けてくれませんでした。"レーダーに結果が出ているから"という一点張りで……」という。

つまり、鶴田氏のいう「正確な試験」を行なわず、間違った方法で速度を測定しておきながら、ドライバーの訴えには耳を貸さず、一方的にキップを切っていた可能性があるのだ。さらに、前述の千葉県警の不祥事も"人為的ミス"が原因とされる。路面に「止まれ」の表示はあったものの、一時停止の標識が道路の拡張工事の際に取り外されていたことに気づかないまま、取り締まっていた。
「いくら路面に書かれていても、渋滞して車が詰まっていれば、その表示が見えないわけですからね。その場合、道路標識がないと、ドライバーは次の交差点が左折禁止か右折禁止なのかもわからないわけですから」(鶴田氏)

それでは、なぜ標識のない道路で取り締まる事態が起こってしまうのか。佐々木氏がこう説明する。
「警察署で道路標識を管理する交通規制係の警察官は1人か2人。彼らが管内すべての標識をパソコンで管理するわけですが、台風や事故で吹き飛ばされたりする場合もあって、それだけの人数ですべての標識をカバーするのは不可能です。つまり標識があると思い込んで、交番勤務や地域課の警察官が取締りにあたると、こういう誤摘発が起きてしまうんです」

これらは、いずれも警察官による単純なミス。しかし、そこには警察内部の悪しき慣習も関わっている。

警察官は、その日に行なった取締り件数を日報に書く決まりがあるのだが、「たとえば雨の日など、取締り件数が少なかったときは、実際の件数よりも多く書くことがあるんです。いわば"借金"を作るのです。特に警官の人数が多い大きな署なんかは、小さい署よりも件数が少なかったら面目が立ちませんからね。この借金を埋めるために、後日、晴れた日などにたくさん取り締まり、最後に帳尻を合わせればいいと考えるのです」(佐々木氏=以下同)

まさか、こんなカラクリがあったとは……。"借金返済"に追われた警官が、安易に取締りをしてしまい、"人為的ミス"を誘発しまうなんてことも、十分考えられるだろう。
「実は交通課に所属する現場の警察官は、スピード違反などを取り締まる時間があるのなら、もっと悪質な暴走族の内偵捜査などをしたいと思っている場合がほとんど。ところが警察署長ら幹部にしたら、摘発した件数が署としての評価に繫がる。つい、"(やりやすい取締りを)やれ、やれ!"という形になるんです」

どれも一概に現場警察官のミスが悪いとは決めつけられない事情や制度だ。しかし、一部の警察官が、故意に不当取締りを行なってしまいかねない驚愕の制度も存在する。
「警察の内部には、違反に対する評価点に応じた表彰制度があります。たとえば、シートベルト違反は1件につき1点、飲酒運転であれば1件につき10点など。一定期間内に取締りをした総件数と評価点を基にし、署長賞などがもらえるんです」

4月20日公開のvol.3に続く・・・。

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