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アルジェリア人質事件で見えた日本外務省「非情の掟」 vol.1

[週刊大衆2月11日号]

1月16日、全世界をテロの恐怖が襲った。

アルカイダ系の武装勢力「イスラム聖戦士血盟団」が、アルジェリア東部イナメナスの天然ガス施設を強襲。プラントメーカー・日揮(本社・横浜市)の日本人17人を含む数十人が人質として拘束された。

犯行グループは、アルジェリア政府に対して、隣国マリの内戦に介入したフランス軍の作戦停止や、収監中の同胞の釈放を要求。だが、これに対してアルジェリア政府は交渉を断固拒否し、17日にすぐさま、事態を鎮圧すべく軍による制圧作戦を展開した。

結果、19日には制圧に成功。武装勢力側は3人が拘束され、29人が殺害された。だが、強行な軍事作戦だったこともあり、殺害された人質の数が40人を越えるという、悲惨な結末を迎えることになった。
「人質たちは、首に爆弾を巻かれて過ごし、"いつでも爆破させる用意がある"と脅されたそうです。また、アルジェリア軍のヘリコプター攻撃に対しては、攻撃を防ぐために人質たちの腕を縛って周囲に配置し、"人間の盾"にしていたとの証言もあります」(全国紙外信部記者)

日本人の死者も結局10人に上り、遠く離れた異国の地で日本の国益を守るために孤軍奮闘した"日の丸企業戦士"に対する哀悼の思いは日増しに強くなっている。

その一方で、事件の全容が明らかになるにつれ、今回のテロで、ほとんど役割を果たすことができなかった日本政府・外務省への批判が噴出している。
「政府は、確かな情報を何ひとつとして得ることができず、不確かな情報におろおろするばかりでした」(外務省詰め記者)

元外務官僚で外交評論家の井野誠一氏も、「私が在籍していた時代から、外務省の情報収集能力には問題がありました」と、問題点を指摘する。

実際、日本外務省の体制は、諸外国に比べても圧倒的に遅れており、「特に日本は歴史的にアフリカとの関係が浅く、欧米との差は歴然です」(前同)

そもそも外務省は、事件が起きたイナメナスの危険性を「十分注意」というレベルにとどめていたが、これは、国が渡航者に呼びかける危険情報のうち、最も低いレベル。
「そのせいか、アルジェ(アルジェリアの首都)に駐在する日本人ビジネスマンの中には、それほど治安が悪化しているという認識を持たない人もいました」(前出・全国紙外信部記者)

これでは、国益を守る"日の丸企業戦士"を、丸腰で危険地帯に送り出すようなものといえよう。

振り返れば、政府の対応は最初から不甲斐ないものだった。

まだ日本人の人質全員の安否が不明だった18日の午前中、「3人の安否確認が取れた」という情報が、列島を駆け巡った。
だが、その情報をマスコミに伝えたのは、日揮の遠藤毅広報・IR部長。日本政府ではなかったのだ。
「日揮はアルジェリア進出企業の草分け的存在で、独自の情報収集ルートを持っていました。そのため外務省は日揮からの情報に期待したんです」(政府関係者)

守るべきはずの民間企業から情報を仕入れているというのだから、本末転倒もいいところ。また、情報源として、外務省が日揮とともに頼りにしたのが英国だ。
「天然ガス施設を占拠した武装勢力に対して、17日にアルジェリア軍が攻撃を加えたという情報をはじめ、主な情報はすべてイギリス大使館からもたらされました」(自民党関係者)

さらに、アルジェリア軍による武装勢力の掃討作戦が終了したことは、「現地の日本大使館がアルジェリア国営放送で知った」(夕刊紙記者)というから、お粗末極まりない。

情報不足は、掃討作戦終了後、人質の安否確認の遅れにも見て取れた。
「19日、現地へ派遣した警察庁スタッフから、人質17人のうち14人が生存との情報が政府に入ったが、このとき同時に、アルジェリア当局からは、5人死亡という相反する情報も得ていたんです」(通信社記者)

これに対して、当時、菅義偉官房長官は、「厳しい情報に接している」と語ったが、結局、14人が生存したというのは大きな誤り。矛盾した情報に振り回される失態ぶりをさらした。

2月5日公開のvol.2に続く・・・。

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