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アルジェリア人質事件で見えた日本外務省「非情の掟」 vol.2

[週刊大衆2月11日号]

その無能ぶりを露呈した政府・外務省に対しては、与党・自民党内部からも批判の声が上がり、21日の外交部会では「イギリス大使館にできることが、なぜ日本にやれないのか」という叱声が上がったという。

また、アルジェリアでの勤務経験がある日揮の元社員も全国紙で、痛烈な批判を発している。
〈米英仏政府は紛争地域の厳しさを知り、事件が起きたときの交渉力もあって信頼できた。日本政府は日揮よりもアルジェリアの情報に乏しく、有事に当てにならない〉

そもそも、外務省の情報収集能力に対する疑問は、以前から指摘されてきた。

たとえば、04年4月にイラクで日本人5人が拉致され、人質になった事件(その後、イスラム聖職者協会の仲介で解放)の際には、こんな笑えない話があった。
「外務省の建物にはパラボラアンテナがなく、アラブ系衛星放送『アルジャジーラ』が見られなかったというんです」(前出・夕刊紙記者)

アルジャジーラは、事件の発生から人質解放まで伝えた唯一のメディア。そのテレビの情報すら得られないとしたら、情報収集以前の問題だ。

もちろん、大使館を含めた日本の在外公館が、なにも活動していないわけではない。
「テロ組織や反政府組織のリーダーなどの誕生日や何らかの記念日は必ず把握するように努力しています。テロ行為や武力蜂起は、意外とそういう時期に照準を合わせて決行する可能性があるからです」(国際ジャーナリスト・松本利秋氏)

情報の入手ルートについては、「主に現地人のジャーナリストからです。テロ組織に繫がるルートを持っているケースもあり、彼らと定期的に食事をして情報を入手しています」(前同)

このほか、自衛隊から大使館に「防衛駐在官」(階級は主に一佐ないし二佐だといわれる)が派遣されるケースもある。
彼ら防衛駐在官は、駐在国の軍部や情報機関にルートを作り、情報収集するのが主な任務となっている。

だが、今回の日本政府の対応を見れば、これまでのやり方に疑問を持たざるを得ない。

危険地帯における情報収集のさらなる強化が求められるところだが、前出の井野氏は外務省の最大の問題点を、こう指摘する。
「省内の勤務評定で、情報収集能力は低いランクに置かれています。つまり、同じ優秀な人材でも、情報マンより行政官を優先する土壌があるということです。そのため、"情報取りは出世に繫がらない"という認識が生まれているんです」

海外で働く日本の企業戦士の安全よりも、己の出世のほうが重要……仮に職員たちが、そのような"非情の掟"に従っているとすれば万死に値する。

アルジェリアの悲劇を繰り返さないためにも、いまこそ、日本政府と外務省に本気の改革を求めたい。

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