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藤竜也インタビュー「生きるってハードボイルドだぞ」75歳の名優が語る

[週刊大衆2016年10月17日号]

藤竜也インタビュー「生きるってハードボイルドだぞ」75歳の名優が語る

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 親分から普通のお父さんまで幅広く演じてきた名優が新境地に挑戦、その心境を直撃した!

 昨年、公開され話題になったアクションコメディ映画『龍三と七人の子分たち』(北野武監督)では、オレオレ詐欺を退治する元親分役を演じるなど、常に貪欲に新境地を切り拓き、新しい世界を演じ続ける俳優・藤竜也。最新主演映画『お父さんと伊藤さん』の藤竜也本人に役者としての生き様と映画の見所について語ってもらった。

――本作のオファーを受けて台本を見たときの感想はどうでしたか?

「話として面白いと思いましたね。なんでもない話だけど、この映画のお父さんは自分が考えるはっきりした家庭のあり方を持っている。最初は一緒に住むことになる娘の生活にびっくりするけど、やがて現実を受け入れていくんですよね。世の中はドンドン変わっていくし、期待しても仕方がないから時代に合わせて行くしかないと。そこがいかにも現代的だと思いましたね」

――そうですね、お父さんが意外にも一昔前のカミナリ親父じゃなくクールだった。どこか小津安二郎監督の『東京物語』を彷彿とさせるようなところもあって観ていてなんだか切ない気分になりました。

「そう、ぼくもこの映画を改めて観たら、これは小津さんの映画を思わせるなってね。若いころは気が付かなかったけど、小津監督の一連のホームドラマって実はハードボイルドなんですよね。何気ない日常のやり取りの後ろに隠れた気持ち、たとえば“厭な奴だなふざけんなよ”って思いながら、ニコニコして“イイのよ”なんてね。恐いよねホントに(笑)」

――『お父さんと伊藤さん』は一つ屋根の下で世代が交わる映画ですが、これは観る世代によって感じるところに違いがあると思います。そうしたところは意識されましたか?

「そんなに深くは考えてないよ(笑)。撮影現場でも世代間の話はなかったしね。でも監督の企みとしては当然あったと思いますね。登場人物が20歳ずつ離れているからね。ただ現実に私は老いと向きあっているわけですから、老いとはどういうものなのかは分かっているつもりです。後に残された私の時間って5年とか6年とか8年とかそんなもんでしょ。そんな化けモンじゃないんだからそんなに永くは生きられない。それは身をもって感じているわけだから、そういう意味では今の自分にこの役はやりやすかったな」

――でも実際に藤さんが宿しているエネルギーは今の70代の方と比べて随分パワフルだと思いますが。

「そりゃぼくは今仕事をさせてもらっているからね。でもこの映画のお父さんは公務員っていうか教師だったわけで、本当はもう少し社会参加したいと思っても定年になって外された。そうとうやるせないだろうなと思いますよ。ぼくの周りには同じ年代のそういう人とよく話すから、そのへんのマインドがよくわかっているつもりです。それに比べてぼくらは自由業だから、まだ仕事ができるっていうのは全然違うからね。本当にありがたいと思っていますよ」

――『週刊大衆』を読んでくださる方々も、中高年世代が増えつつあります。

「それって今の会員制のスポーツクラブと一緒だよね(笑)。最初は30代だったのが、段々上に上がっていって、気がついたら50、60になってくるのよ、そうすると後から来る若い人なんかジイさんやバアさんばっかりで入りづらくなってね(笑)。そうか、だから今回は大衆さんに取材してもらっているわけだったのね(笑)」

――そんなお父さん読者に向けてメッセージをいただけますか?

「そうですね。“生きるってハードボイルドだぞ!”ってぜひこの映画を観て感じてほしいですね(笑)」

――ありがとうございました。

藤竜也 ふじ・たつや
1941年8月27日生まれ1962年、映画『望郷の海』でデビュー。シリアスからコミカルまで幅広い役柄をこなし、75歳の今でも新境地を開拓する名優。
映画『お父さんと伊藤さん』は10/8(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー

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