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【武豊】最高の舞台で最高の騎乗をしたムーアの凄さ

[週刊大衆2016年10月24日号]

 世界中のホースマンが注目したレース「凱旋門賞」は、A・オブライエン厩舎所属、ライアン・ムーア騎手が騎乗したアイルランドの4歳牝馬ファウンドが優勝。日本から、ただ一頭挑戦したマカヒキは14着に終わりました。

 なぜか、この「凱旋門賞」は、レースが終わった後で、「あー、やっぱり、あのジョッキー、あの厩舎だったかぁ」と気づくことが多いのですが、今年はまさしくそれ。天才調教師と呼ばれるオブライエンと、世界を舞台に豪腕を発揮しているムーアのコンビが、美味しいところをすべて持っていってしまいました。

 下馬評では、圧倒的な存在がいないことで、どの馬にもチャンスがあるといわれ、僕自身もそうかなと思っていましたが、勝ったファウンドの強さはナンバー1の称号にふさわしいもの。世界の広さと強さを改めて思い知らされたような気がします。

 そして、もう一つ。ジョッキーの視点でレースを振り返ってみたときに、凄さが際立っていたのが、ムーア騎手のポジション取りと冷静な判断力です。レース前に、こういうレース運びをしたい、このポジションにつけたいというのは、どの騎手でも考えることです。しかし、実際にゲートが開いて隊列が定まるまでに、思い通りのポジションを確保できることは、そんなに多くはありません。まして、そこからペースを肌で感じ、その先の展開をパーフェクトに読むとなると、そんなに簡単なことではありません。

 ところが、12番枠からスタートしたムーア騎手は、まるで最初からそこを狙っていたようにすぐさま、スーッと内へ。そこでじっと我慢して、最後の直線で、その内から狙いすましたように抜け出しました。

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