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タクシー、トラック、バス…職業ドライバーたちの「過酷すぎる実態」

[週刊大衆2016年10月24日号]

タクシー、トラック、バス…職業ドライバーたちの「過酷すぎる実態」

 ニッポンの道路を日々ひた走り、全国に経済という“血”を巡らせる。そんな大役を担う運転手たちが、今、苦境に立たされている!!

「運賃410円だと私の会社の場合、運転手の取り分は230円。それで客を何回転もさせるのは、ちょっときついですよ」 都内で23年間、タクシーを運転するYさん(58)がボヤくのは、来春実施される運賃値下げについて。国土交通省とタクシー業界が、首都圏の初乗り価格2キロ730円を1キロ410円に引き下げようとしているのだ。この背景には、タクシー業界が慢性的に苦しむ乗客減と利益率の低下がある。

「小泉政権時代の2002年に行われたタクシーの参入規制緩和によって、あまりに台数が増えた結果、実車率(走っている車両に客が乗っている割合)が下がり、1台あたりの利益率がガタ落ちになってしまったんです。少しでも稼ごうと無理な運転をするドライバーが増えてタクシーの事故も増加したりと、いいことなしでした」(全国紙社会部記者)

 14年には国交省主導で台数の減少を奨励する法律を作ったものの、景気の悪化もあって乗客数は減る一方。そこで今度は初乗り運賃と距離を下げ、高齢者や外国人客の新規需要を掘り起こそうというのだ。「客単価は確実に下がるので、売り上げをキープするには数をこなさなければならず、ドライバーは疲弊するでしょう。でも、やらなければジリ貧が続くだけですからね」(前同)

 運賃値下げは業界大手の日本交通が旗振り役となったが、中小の会社のドライバーには、こんな悩みも。「大手さんは違うんだろうけど、うちはカード払いの手数料がドライバー負担なんです。値下げで外国人客が増えたらカード払いも増えて、その分、手数料も手間も増える。“貧乏暇なし”になるのが目に見えてるし、還暦前の体が持つか心配ですよ……」(Yさん)

 “貧乏暇なし”なのは、トラック運送業界も同じだ。「今はネット通販が盛んになって“明日着・送料無料”を謳うサービスも増えましたが、これが運賃の切り下げにつながっています」 こう語るのは、トラック運転手の経験もある交通ジャーナリストの長野潤一氏。

「その中で大手運送会社の関心事は、安く使える車を多く手配すること。下請けや孫請け会社はトラックと運転手の頭数を揃えて、いかに安く走るかが命になります。車の維持費も油代もかかるわりに本社の都合で値下げさせられ、さらに時間厳守を要求される。これは報われません」(前同)

 平成23年度の全日本トラック協会の調査では、約50%の業者が「配送原価を無視した受注が頻繁にある/ときどきある」と回答。業界全体で「下請けをたたく」傾向にあるのだ。平成26年の厚生労働省の統計調査では、それを反映して、平均所得は全産業平均の480万円に対して貨物運送業は422万円(大型)、375万円(小型)という調査結果が出た。

 一方、同調査によると労働時間は増えるばかり。大型・中小型ともに2600時間近くで、全産業平均より400時間ほど長い。拘束時間が長くなるのには、業界特有の事情があるようだ。「運転手の給料は歩合制で車に乗っただけお金になると思われていますが、実は給料にカウントされない“荷待ち”という時間があるんです」(同)

 これは文字通り、倉庫で荷物を待つ時間のこと。朝5時に着いたのに荷が出るのが昼過ぎで、車中で待ちぼうけもザラだという。また、届け時間指定通りに目的地の倉庫に着いて荷を降ろそうと思っても、先客が数台いて入れない“手持ち”という時間もある。

「倉庫(荷主)も“フォークリフトが足りない”とか言って、平気で待たせますからね。この間は給料が発生しないし、最近は国の指示で休憩は別途きちんと取る必要があるので、“稼げない”時間が増えてるんです」(運送会社ドライバー)

 行政も、運送会社には運転時間や休憩時間を厳密に管理させるのに、こうした荷主への指導は行き届いていないのだという。「稼ぎが下がって拘束時間も長ければ、当然、不人気になります。私がトラック業界に入った20年前は給料も高く、若者は憧れたものですが、今は人が寄りつきませんね」(前出の長野氏)

 結果として、現在はドライバーの高齢化が進んでいる。前出の厚労省調査によると、全産業の平均年齢42.1歳に対し、トラック(大型)は46.5歳だ。「若者離れとダンピングの問題はトラックだけでなく、観光バスも同じ。00年の規制緩和で新規参入が増えて格安化が進み、業者の利益率や収入は目に見えて悪化した。その最悪の結果が、軽井沢のスキーバス事故だよ」(旅行代理店経営者)

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