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現地潜入ルポドミニカ共和国野球「世界最強の秘密」 vol.2

翌日、インディアンスの内野練習で興味深い光景を目にした。ポジション別のシートノックを途中で中止し、ノッカーを務めていたカルロス・フェルミン守備コーチがマウンド後方で腰を沈める。低い体勢から手でゴロを転がし、捕球、一塁への送球という基本練習をやらせていく。
「ノックのときに、うまくできていなかったからだ。ボールから目を離してはいけない。それを覚えるには低いボールを低い体勢で取る練習が効果的だ。基礎を反復練習で覚えさせる」

基礎の反復。野球の根幹であり、重要であるとされるこの練習は、ドミニカ人選手にとって別の意味もある。"規律の習得"だ。
「ドミニカ人の多くは低レベルの教育しか受けておらず、責任感が欠けている。ドミニカ人選手の欠点は、規律の欠如だよ」(前出・クルス記者)

この規律を身につけさせるべく、アカデミーではさまざまな取り組みがされている。それが反復練習であり、英語やアメリカ文化の授業だ。インディアンスのホセ・メヒア監督はいう。
「ここのプログラムを信じ、ルーティンワークとして続けていくことが規律を覚える第一歩だ。野球は繰り返しのスポーツだから、規律が大事。英語の授業もその一環だ。"ここで規律を学べば、アメリカでもすぐに適応できる"といえば、選手もちゃんとやる」

MLBが1950年代にドミニカで選手の発掘を開始して以降、多くのメジャーリーガーが誕生した。そのなかで、野球の位置づけにも変化が現われた。

サント・ドミンゴから車で1時間強のサンペドロ・デ・マコリスは、"世界で最も野球選手を輩出している町"だ。サミー・ソーサや、ロッテでプレーした後にMLBで数々の最年長記録を残したフリオ・フランコの故郷でもある。

毎週土曜、この町の一角にあるグラウンドで『マニー・アクタ・リーグ』という5~12歳の試合が開催される。ベースは古びた木材で代用されているが、少年たちは元気にフィールドを駆けていく。

マニー・アクタは第1回のWBCでドミニカ代表を率い、ワシントン・ナショナルズやインディアンスで監督経験もある人物だ。「教育を受けた者には、明日がやって来る」が口癖で、彼の考案でリーグが創設された。月曜は5~7歳、火曜は8~10歳、水曜と木曜は11~12歳が、午後になるとグラウンドに集まる。選手の総人数は300人だ。

このリーグの会長を務めるラモン・ペレスに、リーグ設立の目的を聞いた。
「子供たちは午前中に学校へ行き、午後になると、ここで宿題や、数学、コンピュータなどの実習を行なう。そのあとに野球だ。学校に行かない子は、ここでプレーできない。リーグが作られた目的は、学校に通うことを支援するためだ」

グラウンドは政府から寄付され、授業や野球の指導はボランティアが担当。近年、ドミニカにはこうしたプログラムが増えている。
その一つが、サンペドロ・デ・マコリスの14歳から19歳の少年たちに、月曜から土曜まで、野球や英語、コンピュータなどを指導する「CSA」というプログラムだ。かつてカンザスシティ・ロイヤルズでプレーし、現在は同組織のディレクターを務めるペドロ・デラクルスがこう話す。
「アメリカの球団と契約したドミニカ人で、メジャーに昇格できるのは2%。残りの98%はどうなる? 我々は子供たちをメジャーでプレーできるように鍛えると同時に、教育の機会も与えなければならない」

3月9日公開のvol.3に続く・・・。

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