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結果を恐れず決断する勇気が必要

 一度、こうと決めたことを自分の意志で変えるのは勇気がいることです。

 ましてや、デビューから、ずっと同じ戦法で戦い続け、優勝には、あと一歩のところで手が届かないけれど、どんな相手でも、どんな条件でも、確実に賞金を稼いでくれる馬の場合は、なおさらです。

 自分の競馬に徹した結果がいつも2着なら、それはしょうがないと思い定めるのか。結果を恐れず、より大きな勲章を目指して、新たなことにチャンレジしていくのか。騎手として、大きな決断を迫られる場面があります。

 大阪にユニバーサルスタジオジャパンが、東京にディズニーシーができた01年……初冬の京都競馬場で行なわれた第26回「エリザベス女王杯」が、まさに、そんなレースでした。

 パートナーは

トゥザヴィクトリー。桜花賞3着。オークス2着。00年のエリザベス女王杯4着。路線変更となった初ダートのフェブラリーSは3着と好走。

 さらに、世界のトップホースを相手に挑んだドバイワールドカップでも2着に入線するなど、着実に確かな地位を築き上げてきた牝馬でした。

 そんな彼女がそれまで取ってきた戦法は、すべて逃げ・先行です。ただし、それが一番適していたというよりは、気性が激しく、前に馬を置いた競馬ができなかったがゆえに、次善の策として取られていたものだったのです。

 エリザベス女王杯を前に、僕は悩みました。これまでと同様、逃げ・先行策を取れば、堅実な走りをしてくれるのはわかっています。

「でも、本当にそれでいいのか?」

 自分の気持ちに何度も問いかけました。

 以前も書きましたが、競馬は優勝以外、2着、3着もビリも、負けは負けです。

【これで敗北したら非難を浴びるが…】

 なんとかして、彼女に大きな勲章をプレゼントしてあげたい  悩み、考え、たどり着いた答えは、彼女本来の鋭い末脚を生かすための競馬……レース後半までは中団で待機し、最後の直線に勝負をかけるという、これまでとは大きく異なる作戦でした。

 それは、○がだめだから×という単純なものではなく、フェブラリーS、ドバイワールドカップをともに戦い、精神的な成長をこの手に感じていたからこそできたことです。

 スタート直後、彼女を馬群から離れたスタンド側に誘導し、逸る気持ちを落ち着かせてから後方10番手へ。結果が悪ければ、非難されるのを覚悟したうえでの競馬でした。

 結果は……矢のような末脚を爆発させ、1着から5着までの着差が、ハナ、ハナ、クビ、クビという稀にみる大激戦を制することに成功しました。

 勢いのある3歳馬と成熟した古馬、さらに、実力が測りにくい外国勢が加わることで、毎年、波乱ムードが漂いますが、騎手としてはここが腕の見せ所です。

 頂点を目指す女の熱き戦いを、ぜひ、その目に焼きつけてください。

結果を恐れず決断する勇気が必要

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