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常に200通りの戦術を考える

 騎乗するからには勝ちたい。たとえ、それがどんなレースであろうと、どんな馬がパートナーであろうと、その気持ちだけは揺るぎがない。それが、勝負師としての僕の矜持です。
 明らかに力の差があったとしても、相手に出遅れるなどのアクシデントがあり、僕が完璧に乗ったら勝てるかもしれない。それでも無理だったら、僕がより完璧に騎乗し、相手にさらなる不利が生まれる状況をイメージし、勝てる確率を上げていく。そうやって、100通り、200通りの戦術を頭の中で描き、勝つイメージを膨らませていくのが武豊流の考え方です。
 「そうはいっても、相手にアクシデントが起こらなければ、どうするの?」
 そんな声がアチコチから聞こえてきそうですが、結果としてそうなるのと、レース前にすべてを諦めるのとでは、たとえ同じ結果に終わっても、天と地ほどの差があります。
 実際、競馬にはアクシデントが付きもので、出遅れ、乱ペースに巻き込まれる、バランスを崩す、道中、引っ掛かる、コーナーで膨らむ、前が塞がる、鞭を落とす、他馬と接触する、事故に巻き込まれる・・・数え上げたらきりがないほど不利を受ける状況があります。大切なのは、自分にチャンスが生まれたとき、それを生かす準備ができているかどうかなのです。
 しかし、過去に一度だけ、どうイメージを膨らませても勝てない・・・そう思った馬がいました。相手に4つ、5つの不利があり、自分が最高の騎乗をしても、勝てる確率はない。「2着でしょうがない」。僕にそうまで思わせたのが、
 

“シャドーロールの怪物”全盛時のナリタブライアンです。

◆同級生の池江師と再び世界に挑戦!

 筋肉が柔らかく、バランスに優れ、集中力がある。一頭だけ、まるで違うエンジンを積んだスーパーカーのような存在でした。勝負師としては失格ですが、ブライアンが相手のときは負けても納得できる・・・そんなふうに思わせるほど強烈なサラブレッドでした。 競馬に、たらればはありませんが、もし、ブライアンが全盛時、世界に挑戦していたらどんな仕事をやってのけたのか? 考えただけで鳥肌が立ちそうです。

 世界へ。その三文字を胸に、今週末は、再びドバイでの競馬に挑みます。パートナーは、トレイルブレイザー(牡6)。メイダン競馬場で行なわれるGⅠ「アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド3」(AW2000m)への挑戦です。
 ともに栗東のトレセンで育ち、小さい頃から、世界に挑むことを語り合った幼なじみ、池江泰寿調教師とのタッグで、今度こそ、頂点を目指します。
 WBCに出場するプロ野球選手のように、また、一人、世界を舞台に戦い続ける女子ジャンプの髙梨沙羅選手を見習って、日本代表に恥じないレースをお見せしたいと思います。
 2月16日(日本時間)にドバイに入ったトレイルブレイザーは、体調を崩すこともなく元気いっぱいとのことなので、僕もいまからワクワクしています。

常に200通りの戦術を考える

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