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100%勝てないのが競馬の面白味

 勝つことを宿命付けられた馬に騎乗するのは、皆さんが想像する以上に、プレッシャーになることがあります。
 一時期、武豊の心臓には毛が生えているといわれたこともありましたが(笑)、サラブレッドにとって最高の舞台となるGⅠレース。圧倒的な人気に推された単勝100円台のレース・・・誇らしい気持ちと同時に、ひたひたと押し寄せるプレッシャーに襲われることもあります。
 日本ダービー、ジャパンカップ、有馬記念、凱旋門賞、ブリーダーズカップ、ドバイワールドカップ・・・鼓動の速さはそのときによって違いますが、期待を背負っていればいるほど、いつもとは違う武豊がそこにいたような気がします。
 あれはデビュー5年目、91年のことでした。89年にイナリワン、90年にスーパークリークで、春の天皇賞を連覇していた僕に、一頭の馬の騎乗依頼が舞い込んだのです。パートナーの名前は、メジロマックイーン。84年に亡くなったメジロ牧場の大オーナー・北野豊吉氏の、「メジロティターンの仔で天皇賞を勝って、悲願である“天皇賞父子三代制覇”を成し遂げてほしい」という遺言を受けての依頼でした。
 これはどう考えても、「勝ってくれよ」という意味です。いいレースをするとか、チャンスがあったらとか、そんな次元じゃない。勝つことを宿命付けられた騎乗依頼でした。
 91年の春緒戦、天皇賞の前哨戦として臨んだのは、今週のメインレースでもあるGⅡ「阪神大賞典」。あの年、阪神競馬場が改築のため、中京競馬場に舞台を移してのレースでした。

◆勝った喜びよりも安堵感でいっぱい

 結果は、
 

単勝1・2倍の圧倒的一番人気に応えるレコードでの圧勝。調教で跨ったときから、スタートが抜群にうまく、折り合いも気にする必要がない。
 とにかく、欠点らしい欠点が見つからない馬で、「普通に乗って普通に回ってくれば負けない」という自信はありましたが、それでも勝った瞬間は、「やった!」というより、「やれやれ」という安堵感でいっぱいでした。
 プロフェッショナルの騎手として騎乗依頼をいただき、プロの騎手としてひとつ仕事をやり遂げた  何が起こるかわからないのが競馬です。強い馬が最高の状態でゲートを出ても、100%勝てるとは限らないのが競馬の面白さですから、本番も気を緩めるわけにはいきませんが、まずは第一段階をクリアしたことに、ホッと胸を撫で下ろしていました。
 この勝利を皮切りに、これまでに、阪神大賞典を制したのは全部で8度。翌92年はメジロマックイーンで2年連続のV。96年はナリタブライアン。99年スペシャルウイーク。03年ダイタクバートラム。04年リンカーン。06年ディープインパクト。07年アイポッパーといずれも、思い出深い馬たちばかりです。一頭一頭、レース回顧も含めてお話したいところですが、それはまた次のお楽しみということで(笑)

100%勝てないのが競馬の面白味

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