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思い切った作戦が功を奏した一戦

「武さんは、どんなタイプの馬が好きですか?」
 イベントなどに出席すると、こんな質問を受けることがあります。
 どんな馬でも乗りこなすのがプロですから、返事の代わりに、ニヤリと笑みを浮かべることが多いのですが、騎手にも好きなタイプの馬というのはあります。
 ちなみに僕は、勝ってくれる馬。もっといえば、乗りにくくても、気性が荒くても、スタートが速くて、中盤も速くて、終いが切れる馬で、芝ダート兼用、どんな距離でも対応できる馬が理想のタイプです(笑)。
 

 もしこんな馬がいたら、今週末、行なわれる三冠第一弾「皐月賞」(芝2000m)も大楽勝です。もっとも、こんな夢のような馬、今世紀中には出てこないと思いますが(笑)。
 僕がデビューした頃、競馬界では、三冠レースについて、こんなことがいわれていました。
 皐月賞は速い馬が、ダービーは運のいい馬が、菊花賞は強い馬が勝つと。しかし、この言葉は、出走頭数が20頭を超えていた時代のもの(シンザンが勝った1964年は24頭立て、カブラヤオーが優勝した75年は22頭立て)。フルゲートが18頭となったいまは、三冠全戦が、強い馬しか勝てないレースになっています。
 僕が「皐月賞」に初めて挑戦したのは、デビュー2年目の88年でした。改修工事のため中山競馬場が使えず、東京競馬場で行なわれたこのレースは、ちょっと苦い思い出とともに記憶の中に残っています。
 マイネルフリッセをパートナーに、「勝てないまでも、ちょっとはいいところを見せたい」と意気込んで東京にやって来ましたが、最後の直線で、他馬の進路を妨害したとして失格・騎乗停止処分。同じく、この「皐月賞」初騎乗で失格・騎乗停止処分を受けたノリさん(横山典弘騎手)ともども、不名誉な記録を残しています(苦笑)。

【「この作戦しかない」そう決めて騎乗!】

 優勝したのは3度。93年のナリタタイシン。00年のエアシャカール。05年のディープインパクト。
 どれも思い出深いレースですが、「一発、狙ってやるか」という気持ちで挑み、ペース、位置取りなど、思い通りにはまったのが、ナリタタイシンでの「皐月賞」初戴冠のレースです。
 岡部幸雄さんのビワハヤヒデと柴田政人さんのウイニングチケットが2強を形成し、僕のナリタタイシンは、あくまで3番手の評価。
 展開によっては勝てないかもしれないけど、勝てるとしたらこれしかない、と前半は脚を溜め、最後の500mで勝負するという思い切った作戦が功を奏したレースでした。
 自分でレースを作れない弱みはあるけど、最高の形になったらこの馬が一番強い。覚悟を決めてといったら大げさですが、これで負けたらしゃあないという気持ちで臨みました。
 最後の直線で、他馬にぶつけられましたが、そんなことはお構いなし。ビワハヤヒデ、ウイニングチケットをまとめて差し切った豪快な末脚は、乗っていた僕もしびれたほどでした。

思い切った作戦が功を奏した一戦

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