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新時代を切り拓いた女傑の走り

この仕事は本当に自分に向いているんだろうか? いままでとは違った環境や仕事に就くとき、だれもが一度は、考えたことがあるはずです。
 芝2400㍍  今週末、府中で行なわれる牝馬クラシックの二冠目となるオークスは、ほとんどの仔にとって初めて経験する距離。それだけに、未知との遭遇を前に、距離適正の有無が悩ましいところです。
 血統やそれまでのレースから、「距離が延びたほうがよさそうや」とか、「なんとか持つやろう」とか、ある程度の予測はつきますが、結局はやってみないとわからないというのが正直なところ。最後は自分を信じ、パートナーを信頼して乗る以外に、勝利への道は開けてきません。
 僕がオークスで勝利の美酒を味わったのは三度。

優勝した「桜花賞」のレース内容から、自信を持って臨んだ93年のベガ。「桜花賞」では2着に敗れたもの、1600㍍と2400㍍、どちらが向いているかと考えたときに、後者だと思えた95年のダンスパートナー。
 そして、もう一頭、先月23日、キングカメハメハとの仔を出産後に亡くなった“名馬”エアグルーヴです。
 数多くのGⅠ馬を輩出したトニービンを父に、オークスで優勝したダイナカールを母に、大種牡馬、ノーザンテーストを母父に持つ彼女は、僕の競馬人生になくてはならぬ、とびきり最高の女性でした。
 彼女が不動の地位を築いたのは、97年に行なわれた「天皇賞・秋」です。
 牡馬に比べて牝馬は一段、力が落ちるといわれた時代……大きな壁を乗り越えるべく果敢に挑戦、見事に栄冠を勝ち取った走りは、新しい時代を切り拓いたとして、多くのファン、競馬関係者の方たちから賞賛の声をいただきました。
エアグルーヴだから
レースに勝てた!
 その彼女が、エアグルーヴ、ここに在りという輝きを見せたのが、GⅠ初戴冠となった97年のオークスでした。
 有力候補の一角に推された「桜花賞」を発熱で回避。それでも多くのファンに支持され、一番人気となった「オークス」の前夜、距離への不安が暗い影となっていました。
 状態は文句なしで、調教の動きも問題ない。でも、久々の実戦で、いきなり2400㍍はどうか? 最後まで脚が持つのか? スタンド前発走で入れ込んだらどうしよう……イヤな考えが頭をもたげます。
 負けたら負けたときのこと  覚悟を決められたのは、やはり、エアグルーヴだったからとしかいいようがありません。チャンスをいただけるなら、彼女が最後に残したキングカメハメハとの牡馬に、ぜひ、乗ってみたいですね。
 今年、この「オークス」で僕のパートナーを務めてくれるのは、「桜花賞」4着馬のクロフネサプライズ(牝3)。不安材料もありますが、あれこれ考えても仕方がありません。
 今年の「オークス」は本命馬不在、どの馬にもチャンスがありそうですから、パートナーの力を信じて、自分の競馬に徹します。

新時代を切り拓いた女傑の走り

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