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ハナの差でせめて勝ちたや

 森光子さんには一度だけお会いしたことがある。日にちまでハッキリわかる。昭和61年4月29日(火)である。森さんが司会をなさっていたフジテレビの「3時のあなた」に、番組中の競馬中継の解説者として呼ばれたのだ。
 当時の春の天皇賞は、曜日に関係なく、昭和天皇の誕生日である4月29日に行なわれていた。
 このときの天皇賞で

 1番人気になっていたのはスダホーク。重賞レースで3戦続けて連対中。夜来の雨で重馬場になったが、重馬場のダービーで2着しているくらいだから、大丈夫だろうと思って、僕も本命に推した。
 ところがスダホークは、まるでいいところなく7着に敗れてしまうのだ。レース直後、司会席の森さんは「残念でしたねえ。専門家でもハズれてしまうことがあるんですねえ」と慰めてくださった。
 田舎に住む叔母に頼まれていたので、番組終了後に色紙とマジックを差し出してサインをお願いしたら、付き人の方に「毛筆を」といって、その場で、

「花のいのちは みじかくて」

 と書いてくださった。そして、「今日は競馬の日でしたものね。これも書いておきましょう」と笑って、
「ハナの差で せめて勝ちたや」
 と、書き添えてくださったのである。即興に唸るばかりのいっときだった。思いはるかに合掌。

ハナの差でせめて勝ちたや

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