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バレンティンジョーンズ輩出野球王国「オランダ領キュラソー島白球探訪記」 vol.02

[週刊大衆03月31日号]

開拓者のジョーンズが道を切り拓き、彼に憧れた若者が海を渡る。
ココによれば現在、「キュラソーはマイナー契約を含めて50選手近くをアメリカに送り込んでいる」という。

昨年、ブレーブスでゴールドグラブ賞を獲得したアンドレルトン・シモンズや、ロサンゼルス・ドジャースの守護神として君臨するケンリー・ジャンセンは、すでにスターの地位を確立している。

また、メイヤーがオリオールズに送ったジョナサン・スコープは、有望株として全米の注目を集めている。

彼らの武器、総じてそれは恵まれた身体能力にある。
ドミニカやキューバと同様、カリブ海諸国の選手はパワー、スピードという点で天賦の才を授かっている。

同時に、キュラソー出身者は、ある能力を備えているとメイヤーが言う。
「優れた野球選手になるには打撃のミート力、パワー、走塁技術とスピード、守備力、送球能力の5つのツールが必要と言われるが、加えて大事なのが知性だ。キュラソーには6ツールプレーヤーがたくさんいる。それがドミニカとの違いだ」

オランダ領のキュラソーでは質の高い教育を施され、小学校には公用語のオランダ語、英語、スペイン語、現地のパピアメント語の授業があり、島民の65%以上が英語を話すという。

この言語能力の高さを背景とする社交性は、キュラソー出身選手の強みとなっている。
潜在能力を確実に伸ばす環境もキュラソーにはある。

最たるものが充実した少年野球リーグだろう。
キュラソーでは、『プリ・インファンティル(7~9歳)』、『マイナー(9、10歳)』、『リトル(11、12歳)』、『ジュニア(13、14歳)』、『シニア(15、16歳)』、『ジュベニル(16~18歳)』と6つの年代に分かれている。

各カテゴリーは地域別に3つのリーグに分かれ、1月から5月まで各チームが約24試合を実施。

6月以降はトーナメントが中心で、国際試合も開催される。
練習は週2~3度で、1時間半~2時間の間にアメリカと同じく決められたメニューをこなしていくドリル形式の練習が効率よく行われていく。

ここで、野球の技能を身につけていくのだ。

「キュラソーでの野球はエレベーターゲーム。成長していくシステムがある」
そう話すのが、リガ・パリバの会長デニス・ダンブルックだ。

選手は年齢が上がれば、エレベーター式で同じチーム内の上のカテゴリーに自動昇格していく。
同リーグには6チームが在籍し、昨年には選抜チームが世界ジュニアリーグで3位に輝いた。

興味深いのは、1チームの人数が12~15人と決められている点だ。

ダンブルックによると、目的は「出場機会を与えるため」。
最低でも1人に2つ以上のポジションを守らせることで、「将来のチャンスを広げる」。

実際、ドジャースの守護神ジャンセンは捕手としてプロ入りし、09年秋から投手に転向。
そうして才能が花開いた。

また、能力があれば上の年代と練習させるなど、個人に適した環境を用意し、才能を育んでいる。
その代表が昨年、ヤクルトで60本塁打を放ったバレンティンだった。
5歳の頃に野球を始めたが、数年後、サッカーに熱中した。

しかし12歳から少年野球チームに復帰すると、虜になる。
ホームラン打者としての才能を発揮し始めたのは13歳の頃。

バレンティンを幼少期から4年間指導したマルク・バン・ザンテンが当時を振り返る。
「"ココ(バレンティンの愛称)"は常に闘志を出し、プレッシャーと向き合うことが好きだった。母親が育て上げ、規律を教えた」

15歳の頃から個人練習を増やし、才能を伸ばしていく。
転機となったのは、16歳の時のある出来事だった。

その日の試合に遅れて駆けつけたバレンティンは、橋の上から叫んだ。
「俺のポジションを取っといてくれ!」

15歳から監督として指導したカリル・バン・ザンテンが述懐する。
「驚いたよ。遅れてきたのにポジションをくれって言うんだからな(笑)。チームには遅刻したらプレーさせないというルールがあった。子供たちに規律を教えないといけない。"ココ"は遅刻した事実を受け止め、人として成熟していった」

才能ある少年を、いかに成長させていくか。

その制度において、キュラソーは他のカリブ海諸国に優っている。
才能がひしめく島では、近年、さらに新たな選択肢も生まれている。

メジャー球団と契約できる最低年齢の16歳でプロにならず、アメリカの大学に進学するのだ。

03月26日公開のvol.03につづく・・・。

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