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メジャー日本人エース熾烈サイ・ヤング賞ダービー

[週刊大衆04月07日号]

開幕を目前に控え、例年以上に、メジャーへ渡った日本人投手に大きな注目が集まっている。
「昨年、ダルビッシュ有と岩隈久志がサイ・ヤング賞の有力候補となりました。黒田博樹、田中将大のヤンキース勢を加え、今年、日本人投手の誰かがサイ・ヤング賞に輝く可能性は低くありません」(大リーグ研究家・福島良一氏)

サイ・ヤング賞とは、メジャーにおける最優秀投手賞のこと。
毎シーズン、ア・リーグとナ・リーグから一人ずつが選出される。
「日本でいえば、沢村賞にあたり、投手にとって最も栄誉ある賞です。ただ、沢村賞が登板数25試合、15勝、150奪三振など7項目を基準とし、先発完投型ピッチャーを対象にしている一方、サイ・ヤング賞には明確な基準がなく、抑え投手も対象。選出方法も、選考委員会の話し合いによる沢村賞と異なり、記者による投票で決まります」(スポーツ紙メジャー担当記者)

昨年、同賞を受賞したのは、ナ・リーグは16勝で防御率1・83を残した長身左腕のクレイトン・カーショー(ドジャース)、ア・リーグが21勝を挙げたマックス・シャーザー(タイガース)。

そして、そのシャーザーと最後まで栄冠を争ったのが、レンジャーズのダルビッシュ有(27)だった。

元メジャーリーガーで、日本ハムのコーチ時代はダルビッシュを指導したこともある吉井理人氏が言う。
「彼自身、今年はサイ・ヤング賞を強く意識していると思います。オープン戦のインタビューで、"今年はイニング数を稼ぎたい"と言っているように、昨年(209イニング)より15~20イニングは上積みしたいと考えているのではないでしょうか」

基準はないとされるサイ・ヤング賞だが、同賞を獲るには、チームのエースとして、およそ年間220~230イニングを投げることが求められる。
「そのために、今季のダルは一人当たりにかける球数を減らし、イニング数を増やす必要がある。今年、開幕投手に指名されたダルビッシュがイニング数を増やしたうえで、2年連続の奪三振王となり、日本人初の20勝投手となれば、サイ・ヤング賞の最有力候補となることは間違いないでしょう」(スポーツ紙デスク)

オープン戦では、プレートに置く軸足の位置を通常と変えて投げるなど、打者を欺く工夫を重ねている。
「昨年、終盤に勝てなくなったことをあげつらう人もいますが、あの時も決して彼自身のパフォーマンスは落ちていなかった。0-1で負けてしまうような試合が続き、モチベーションが下がってしまっただけ。ダルビッシュは進化の途上にあり、今が完成形ではありません。これからどこまですごい選手に成長していくのか、まだまだ先が楽しみです」(前出・吉井氏)

一方、ヤンキースと「7年161億円」の超大型契約を結び、日米で話題を独占する田中将大(25)。
使用球やマウンドの違いを心配する声もあったが、オープン戦で堂々たる投球を見せ、"外野"の声を払拭してみせた。
「田中は楽天時代から渡米を意識し、メジャーのボールを使って投球練習をしていました。日本では速球型と思われていましたが、本当は変化球型の投手。メジャーでは、スピードボールを投げる投手はゴマンといる。日本人がメジャーで成功するには、適度なスピードと多彩な変化球が必要。田中は、その条件を見事に満たしています」(前出・スポーツ紙デスク)

事実、田中の強みであるスプリットやスライダーなど、巧みにコントロールされた変化球には、メジャー各球団関係者から驚嘆の声が上がっているという。
「田中の投げるすべてのボールがメジャーで通用します。なかでも、真っすぐと同じ軌道を描いて、最後にストンと落ちるスプリットは大きな武器。心配な点は、コンディションが保てるかどうかだけです」(吉井氏)

中4日のローテーションや長距離移動といった"メジャー流"には、1年目のダルビッシュも苦戦を強いられた。

だが、前出・福島氏は、それも「大丈夫」と太鼓判を押す。
「田中のことですから、ダルビッシュの初年度を上回る日本人新人投手最高の17勝を挙げることは十二分に可能です」

この17勝は、同じヤンキースの先輩・黒田博樹(39)にとっても大きな目標だ。
「黒田がこれまでに挙げた最高の成績は、ドジャースからヤンキースに移籍してきた12年の16勝。ですから、今年の目標は、それを上回る17勝以上を挙げ、かつ、2年連続の200イニング登板を達成することだと思います」(前出・メジャー担当記者)

黒田の特長は、自分のボールをしっかりとコントロールしつつ、戦略的に投げる技術を持っている点だ。
「黒田は、たとえば左打者を仕留めるのに、最初は得意のシンカーやツーシームを外角に集めます。次に肩口から戻してくる球でストライクを稼ぎ、最後はスライダーをインに食い込ませて三振を取りにいく。そうした組み立てを考え、実行することができる。これは卓越したコントロールのおかげです」(吉井氏)

コントロールが難しい変化球は、ひとたび高めに浮けば長打の危険にさらされる。
黒田の実績は、変化球を低めに集める制球力に裏打ちされたものなのだ。

それは、マリナーズの岩隈久志(32)も同様だ。
「スピードはそこそこですが、得意球としてフォークとスプリットを持っている。さらに、それを低めに集めてきますから、打者にはやっかいな投手でしょうね」(メジャー担当記者)

岩隈の昨年の成績は14勝6敗、防御率2・66。
ア・リーグのサイ・ヤング賞候補にも挙がる活躍だったが、今年は昨年を上回る勝利数と防御率を残せば、同賞受賞も十分にあり得る。
「昨シーズンは中継ぎから先発に昇格し、219回2/3を投げてローテを見事に守りました。今年は右手中指の負傷で出遅れ、4月半ば以降の登場となりそうですが、大きな出遅れにはならないでしょう」(スポーツ紙デスク)

"故障の少なさ"が上原の強み

ここまで挙げた4人は先発投手だが、抑えからサイ・ヤング賞を狙えるのが、"世界一のクローザー"こと、レッドソックスの上原浩治(38)。
「昨年は中継ぎスタートでしたが、6月からクローザーとなり、チームのワールド・シリーズ制覇に貢献した。今年は開幕からクローザーを任されていますから、昨年以上の活躍が期待できます」(前同)

上原が首脳陣から信頼を集める最大の理由、それは故障の少なさだ。

「リリーフ投手は負担が大きいため、シーズンのどこかで故障してしまうものですが、上原は、昨年の故障者リスト入りはゼロ。それだけ体への負担の少ない投げ方をしているということ。日本時代とは投げ方を変え、メジャー仕様にフォームを改造したことが、好結果を生んでいます」(吉井氏)

上原がシーズンを通して活躍し、40個以上のセーブを挙げれば、チームの連覇も見えてくる。

「ダルビッシュ、田中、黒田、岩隈の日本人投手4人で合わせて60勝、上原が40セーブというのが、日本人投手の今年の"ノルマ"です。こうした高いレベルで争えば、この中から、日本人初のサイ・ヤング賞投手が出てくる可能性は高いでしょうね」(福島氏)

吉井氏、福島氏は、その一番手として、ともにダルビッシュを挙げる。

まもなく始まるメジャーの14年シーズン。
はたして、日本人投手の活躍やいかに――。

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