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優良ドライバーのための…「不当交通取締り」完全マニュアル

[週刊大衆04月21日号]

4月6日から同15日にかけて行われている「春の全国交通安全運動」。
ドライバーでなくとも多くの人が、耳にし、目にするこの運動は毎年、春と秋に10日間行われる。

平成26年の春は「子どもと高齢者の交通事故防止」を基本に、自転車の安全利用の推進、すべての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底、飲酒運転の根絶を重点として、普及啓発活動が全国一斉に行われる。

「春の交通安全運動は、新入生が学校に通い出す時期に当たるため、通学路や学校を中心に、歩行者と自転車の安全を重点的に取り締まる傾向があります。特に学校周辺では、通学時間帯の車両進入禁止の取締りを強化することが多いので、こうした場所では、より安全運転に努めたほうがいいでしょう」

こうアドバイスするのは、くるま総合研究所代表の相川潔氏。同氏が続ける。
「ただ、本来なら歩行者や自転車の安全確保のためには、警官は車両進入禁止区域の入り口に立つべきなんですが、出口に立って進入してきた違反車両を摘発するケースが目立ちます。これでは本末転倒。"取締りのための取締り"と言われても仕方がないですよ」

実際、交通安全運動が行われる4月と9月は、交通違反の取締り件数が急増するが、そこには警察の内部事情もあるという。

交通ジャーナリストの今井亮一氏はこう指摘する。
「警察にとって、交通安全運動の期間中は違反摘発の"稼ぎ時"なわけです。違反をしたドライバーから、いかに"効率よく"反則金を徴収するか。本音を言えば、それこそが彼らにとっては大事なんですよ。反則金はいったん国庫に納められてから、交通安全対策特別交付金として都道府県・市町村に交付される貴重な"財源"ですからね」

さらに続けて、「交通違反を摘発し、キップを切ることが、交通課や地域課の警察官のノルマになっていることは、いまや公然の秘密と言ってもいい。部下の成績が悪いと、上司の責任になるので、上司も部下にハッパをかける。勢い、理不尽な取締りが増えるわけです」

これからゴールデンウイークにかけて、ロングドライブをする機会も増える。
安全かつ適切な運転をすることはもちろんだが、イヤ~な思いをしないためにも、交通取締りについて、ぜひとも知識を深めておきたい。

運転中に取締りに遭い、違反キップを切られて、しぶしぶサイン。
「あ~あ、ついてねェな。今日は運が悪かった……」ブツブツ言って終わりにしていたドライバーも多いはずだが、警官の言い分が常に正しいとは限らない。

「2012年には、栃木県警が走行車両の速度を測定する移動式レーダーの設置角度にミスがあったとして、11年7月から12年5月にかけてスピード違反で摘発した4136件の処分を、すべて取り消すという事例もありました」(全国紙記者)

正しいはずの測定機の数値が、設置ミスによって、8%も上乗せした速度を表示していたというのだから、恐ろしい話である。

また、昨年1月には、大阪府警の元警部補が、飲酒検問で行ったアルコール呼気検査の数値を捏造(ねつぞう)したとして、大阪地裁で実刑判決を受けている。

「この元警部補は11年9月、ミニバイクの運転手にアルコール検査をしていないにもかかわらず、基準値を超えるアルコールが検出されたと偽って、報告書を提出したとされています。3月26日の大阪高裁の判決では逆転無罪となりましたが、司法判断が揺れる中での取締りは、危ういものがあります」(前同)

さらに、道路交通評論家の鶴田光秋氏は、交通違反を取り締まるはずの白バイを"取り締まった"ことがあるという。

「法律では、交通違反を取り締まるために速度超過する際、回転式赤色灯を点灯させなければいけないのですが、それをせずにスピード違反の車両を追いかけて取り締まっていた神奈川県警の白バイがいたんです。その事情聴取の場に行き、話をしたところ、その警官は"赤色灯を点灯したか、わからなかった"と言うんです。それで県警本部に電話したところ、私の言い分を認めて、本部の指導部がその白バイ隊員に指導していました」

警察が"誘導"する交通違反

ここまで極端な事例は滅多にないだろうが、だからといって、今後起きない保証はないし、取り締まる側も人である以上は、ミスや勘違いもあるはずだ。

「本来、交通違反の取締りは指導→摘発・検挙の手順で行われるべきもの。ところが今は、何がなんでもキップを切ろうという警官の姿勢が顕著で、交通安全運動の期間中は、それがさらに強まります」(前同)

それが表れているのが、キップへサインを求める場面だという。

「キップにサインするかしないかは、あくまでも本人の意思。違反内容などに納得できなければ、憲法第38条と刑事訴訟法第198条の"供述拒否権"によって、拒否してもいい。それにもかかわらず、"サインしないと逮捕する"と脅してくる警官もいます」(同)

また、免許証の"提示"の場面でも同様だ。

「『提示』と『提出』は似て非なるものです。"免許証を見せろ"と言われても、提示だけが必要な場面であれば、見せるだけでいいんです。それなのに、提出させて、それを返さないというのは、不当取締り以外の何物でもないですよ」(同)

さて、ここからは、優良ドライバーが陥りやすい交通取締りの"罠"を見ていくことにしよう。 細い道で制限速度を大幅に超えて走ったり、あるいは高速道路で走行中の車両の隙間を縫うようにして暴走する車など、歩行者や周囲のドライバーにとって危険な速度超過。

こうした違反を取り締まることが、多くの人に安全をもたらすのは自明の理なのだが、この取締りが適切に行われていないと話すのは、前出の今井氏だ。
「速度超過の取締りは、本来やるべき場所である事故多発地点や交通量の多い道では、まず行われません。交通量が少なく、運転者がついスピードを上げたくなるような直線道路の周辺で"張っている"ことが多いんです。事故を防ぐためというより、取締りをしやすい場所でネズミ捕りをしている印象が強いですよ」

その結果、事故多発地点であるかどうかは関係なく、次のような場所が"狙われる"と続ける。

「高速道のインターを下りて、国道などの一般道を走行するときはスピードの感覚が鈍っているので速度超過しがち。そこを狙ってネズミ捕りを仕掛けてくるケースは多いですね。また、空港に近い幹線道路も、飛行機の発着時間を気にして飛ばす車が多いので、警官が待ち伏せしている可能性があります」

また、前出・鶴田氏が指摘する速度超過の不当取締りは"誘導"だ。

「高速道では追尾してきた覆面パトカーが車間距離を故意に詰め、煽ってくるケースも報告されています。覆面パトには助手席用のルームミラーや多面サイドミラーが付いていて見分けることが可能。どんな車に煽られても速度を出しすぎないことが大前提ですが、警察車両に煽られてトラブルになることはないので、冷静に対処してください」

また、高速道路や交通量の多い幹線道路には、カメラとストロボを備えた自動速度違反取締り装置、通称オービスが設置されていることは、ご存じのとおり。

制限速度を大幅に超過して走行する車を検知すると、自動的にスピードを記録し、ナンバープレートと運転席を撮影する機械だが、「オービスの手前には設置を知らせる標識を立てることになっているんですが、その間隔は一定ではない。

これが一種のフェイントになっていて、ドライバーがオービスの設置箇所をすでに通り過ぎたと思って、スピードを上げた瞬間、ストロボがピカッと光ったということがままあるんですよね」(鶴田氏)

速度超過を取り締まるための機械には、前述のレーダー、オービスのほか、光電式と呼ばれる機器もある。これは歩道の縁石付近に3メートル間隔で発受信器を設置しておくもので、車両が移動に要した時間から速度を割り出す仕組み。

だが、「精度に関しては問題が多いとされています」(前出・全国紙記者)。

そうした問題を抱えながらも、車載型オービスを搭載した覆面パトカーや、パトカーの屋根の上の赤色灯の中心にレーダーを内蔵した"レーダーパト"といった"新兵器"が増加傾向にあるという。

地域で偏りのある取締り件数

こうした速度超過とともに、一般のドライバーが反則キップを切られることが多いのが、駐車違反だ。

「06年4月から駐車違反の取締りが民間委託されるようになり、ますますややこしくなりました。ただ、若い人の"車離れ"などで、駐車違反の取締り件数は年々、減少。平成25年の駐車違反取締り件数は170万458件で、前年比8・4%(15万5321件)も少なくなっています」(前出・今井氏)

実は、道路交通法違反の取締り総件数も右肩下がりで減っており、平成25年の総件数は1047万4402件で、前年比6・8%(77万166件)減。

にもかかわらず、反則金全体の中で駐車違反の占める割合は大きい。警察にとって、それだけ"取りやすい"ということだろう。

また、地域によって取締り件数の比重にも大きな偏りが出るという。

「12年の統計によれば、酒気帯び運転の取締り件数は、沖縄が1451件、構成率2・6%とダントツに多い。一方、速度超過は北海道が飛び抜けて多く、札幌だけで9万4872件、構成率47・6%と異常に高い数字になっています」(前同)

見知らぬ土地ではこうしたことを知っておくことも、安全運転につながるはずだ。

「不当な取締りは断固として許せませんが、まずは自分が、安全運転を徹底することです」前出・鶴田氏がこう言うように、ドライバー、警官にとって大事なのは「安全」であることを、お忘れなく。

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