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中国血みどろクーデター5秒前!習近平VS人民解放軍戦慄バトル

[週刊大衆04月28日号]

巨龍・中国が揺れている。
その"震源地"は、人民解放軍だという。

「昨年3月の国家主席就任以来、習近平氏は汚職撲滅に向けて"虎も蠅も叩く"と宣言しました。中国社会に蔓延し、国民の大きな不満となっている汚職の一掃を最重要政策課題とし、精力的に取り組んできました」(在北京・日本人特派員)

ただし、水清ければ魚住まず、は世の習い。
「習主席の汚職撲滅作戦があまりにも急ピッチだったため、ターゲットにされた共産党幹部や、そこに巣食う不逞の輩たちの間で、習執行部への不満がうっ積しているんです」(前同)

なかでも、中国国内政治最大のタブーとされてきた人民解放軍の腐敗に、習指導部はついにメスを入れた。
「近年、軍事費はうなぎ上りで、中国初の空母・遼寧に象徴されるように、解放軍は肥大化を続け、その隙間でさまざまな不正が横行していた。そのため、汚職を禁じられた軍幹部の間で"このままでは干上がってしまう"と、習執行部への危機感が急速に高まっているんです」(同)

その危機感は、いまや最高潮にまで達し、習指導部と230万人民解放軍の確執が国家体制を揺るがすまでになっているという。

それにしても、習主席の軍汚職一掃大作戦は凄まじいのひと言。
象徴的事例がこの3月31日、中国国営・新華社の公式ミニブログで報じられた"異例のニュース"。

〈人民解放軍の谷俊山(コクシュンザン)元総後勤部副部長(中将)が汚職や収賄、公金流用、職権乱用の罪で軍事法廷に起訴された〉

谷元副部長は、人民解放軍の装備など各種物資の調達、施設の構築や維持など後方勤務を担当する「後勤」部門に長く携わった人物。
03年に少将、11年には中将となり、人民解放軍内ではトップ30の高官だった。

「主な汚職容疑は、軍用地の販売で代金の一部を着服したというものです。捜査の過程で、同元副部長の自宅からは純金製の毛沢東像や同じく純金製の船の置物が発見されたほか、中国産最高級酒・貴州マオタイ酒1万5600本も発見されています」(在香港・日本人ジャーナリスト)

また、多くの腐敗幹部同様、派手な女性関係も露見した。
同氏が、周囲に「中国の女性芸能人は皆、オレのおもちゃになったことがある」と吹聴していたのが暴露されたのだ。

その谷元副部長の汚職総額は180億元(約3000億円)にも達し、軍汚職史上最高額を記録したというから凄まじい。

習近平主席の軍汚職摘発は、さらに続く。
谷元副部長逮捕と同時進行で、人民解放軍の徐才厚(ジョサイコウ)元中央軍事委員会副主席(元大将)にも「軍の階級を売買していた」との容疑で捜査の手が伸びたのだ。

「徐元大将は、(前記の)谷元副部長が軍内で昇格するうえで、強力な後ろ盾となっていた人物です。昨年、軍の副主席を引退(引退に追い込まれた)し、体調不良のため入院。仮に今後の捜査で軍制服組の元最高幹部逮捕となれば、超ド級の激震が軍内部に走るでしょう」(中国事情通)

国際問題評論家の井野誠一氏が言う。
「この2人に限らず、公金を使って2ケタに上る愛人を囲ったり、軍が専用で営む"接待所(売春クラブ)"で歓楽の限りを尽くしたり、さらには高級リゾート地に別荘を何件も所有する軍幹部は数知れません」

その人民解放軍の汚職が際立ち始めたのは、中国経済が急成長するのと機を同じくしている。
「中国経済の急膨張とともに不動産価格が急騰し、軍保有の膨大な土地が資産に変わったんです。そこで行われた不動産取引が、軍汚職の根源になったと言われています」(前同)

汚職はさらなる汚職を生んだ。
まずは、昇進のための賄賂が頻繁に行われるようになり、将軍ポストが数十万ドルで秘密裏に売り買いされたという。
「いったん軍幹部となってしまえば、末端からカネが上がり、貯まりに貯まる"賄賂の上納金システム"ができあがっていました。ポスト入手にかけたカネなど、即座に回収できたといいます」(中国情勢に詳しい軍事ジャーナリスト)

驚くことには、武器の密売や転売も行われていたという。
たとえば、陝西省にある某軍需倉庫に保管されていた385機のミグ15戦闘機が、いつの間にか25機に。

行方不明の戦闘機は、アルミ合金として合金企業に転売されたという。

「同様のケースでは、四川省の軍倉庫にあった戦車や装甲車1800両が解体され、鉄のスクラップ企業に密売されていたことも判明しています。96年以降、廃棄待ちの戦車や装甲車、軍用トラックの50%が"消滅"したとも言われています」(前同)

こうして転売、密売された総額は300億元(約5000億円)にも達したという。

「これは一例です。国の財産である軍のさまざまな設備や資材が勝手に売られ、軍幹部のポケットに入ってしまう。豪邸建設や不動産購入、酒池肉林の宴会費用に化けていたんです」(同)

そんな金権ドップリの人民解放軍を評して、麻生太郎元首相は「カネ儲けについては、(日本の)ビジネスマンも人民解放軍に学んだほうが良い」と、お得意の毒舌で揶揄したほどだ。

習主席を支持する解放軍人脈

こうした解放軍幹部の腐敗は、これまで"お目こぼし"を受けてきた。

「中国の指導部にとって、軍の支持を得なければ、政権運営は不可能です。胡錦濤前主席も軍権の掌握に手いっぱい、腐敗に手をつけるどころではなかった。それがわかっているからこそ、国民は大きな不満を溜め込んでいるんです」(前出・軍事ジャーナリスト)

しかし、習指導部はついに、その解放軍にメスを入れたのだ。

中国問題に詳しいジャーナリストの富坂聰氏が言う。
「習改革も、当初は単なるポーズとみられていました。ですが、谷元副部長や徐元軍事委副主席にまで司直の手が伸びるに至り、習主席の本気度が知れ渡った。腐敗した軍幹部たちは震え上がったんです」

習近平国家主席は、主席就任と同時に腐敗撲滅を掲げてきた。

「具体的には"4風(形式主義、官僚主義、享楽主義、ぜいたく主義)反対"のスローガンをブチ上げました。特に汚職の温床と見られていた軍部に対しては、視察のたびに"軍隊は党の絶対的指導力を支持し、党の命令に従わなければならないことを肝に銘じるべきだ"と厳命し、プレッシャーをかけています」(前出・日本人特派員)

江沢民元主席や胡錦濤前主席と異なり、習主席はもともと解放軍に一定の権力を持っている。

「習近平は早い段階で党中央軍事委員会弁公庁で国防相の秘書を務めるなど、軍と深い関係を構築してきました。妻の彭麗媛(ホウレイエン)は人民解放軍文芸兵出身のスター歌手でもあります。現在の解放軍の中堅幹部は、習主席の時代になって登用された比較的若い世代が多い。胡錦濤前主席の息のかかった勢力がまだ残っているため、習派と対立構図が生まれている。江沢民元主席一派は、比較的習派と連携していると見られています」(外務省関係者)

そうした"応援勢力"の支持を担保に、習政権は"軍のブラックボックス"に攻め込み、一気に完全掌握しようとしているのだ。

この4月4日には人民解放軍の海空軍幹部や全国7大軍区司令官ら18人が、こぞって軍機関紙、解放軍報などに「習近平国家主席の国防政策を支持する」と署名入りの発言録を発表。
習政権へ恭順する姿勢を見せるようになっている。

「しかし、とても安心などできません。習主席がトップを務める中央軍事委員会で言えば、副主席の許其亮(キョギリョウ)上将は胡派、范長龍(ハンチョウリュウ)上将は中立。盟友には同じ太子党の劉少奇の息子の劉源(リュウゲン)中央委員や張又侠(チョウヨウキョウ)上将がいます。軍内部の習派が今のところ重石となっていますが、追い詰められれば、反対勢力が牙を剥くのは間違いありませんし、汚職撲滅をやりすぎると習派そのものが寝返る可能性も否定できません」(前同)

軍の暴走で尖閣強硬上陸も?

事実、解放軍内の不満は、ここにきて相当高まっているという。
「軍部隊によるビジネスや蓄財が禁止され、"宴会が仕事"と揶揄された人民解放軍も、今はおとなしくしている。しかし、軍内部には見えない怒りが渦巻いています」(外務省関係者)

特に、軍幹部たちの最大の不満がカネだ。

「先般、習執行部は"国有企業改革(企業リストラ)"をぶち上げました。国有企業の中には解放軍経営のものもあります。これらは、一部の軍幹部たちの"財布"にもなっていますから、改革の対象となれば大ごとです。習政権が本当に手をつけるのか注目されています」(在北京・日本人特派員)

いま、中国経済最大の危機として浮上している"シャドーバンキング(影の銀行)"問題も、同じ構図だ。
「シャドーバンキングの実質的経営者の多くが人民解放軍の幹部たちです。習執行部が、問題ありとしてシャドーバンキング潰しに出れば、それは即、軍幹部たちの資金源を断つこととなり、これまた反発必至です」(同) さらに、習主席が目指す人民解放軍の近代化に名を借りた兵員リストラも軍の猛反発にあっている。

「習政権内部から"230万人もの兵員は必要なし"との声が上がり、80万人にも及ぶ大量の兵員削減がささやかれているんです。これも軍不満が高まっている大きな要因です」(前出・軍事ジャーナリスト)

こうした軍部の不満は、反習政権の動きとなって噴出しつつある。

「軍関係者が天安門事件を評価する論文を発表したり、はたまた複数政党制を認める発言が飛び出したりと、かなり緊迫した状態です。先日、山西省の共産党委員会庁舎前で発生した連続爆破事件の犯人は、現政権に不満を抱く軍関係者ではないか、と疑う声が出ています。事件で使われた爆弾は高い殺傷能力があり、あのような特殊爆弾は軍関係者以外は作れないとみられているからです」(前同)

真偽のほどは定かではないが、そんな噂まで囁かれるほど、習執行部への軍の不満は顕在化し始めているのだ。

「共産圏では、軍部を掌握することが権力者にとって最大の課題です。その両者が睨みあっているいま、何が起きても不思議ではありません」(国際問題評論家・小関哲哉氏)

前出・井野氏は、こんな具体的なケースに言及する。

「習主席の出方が今後とも軍に厳しければ、軍としても、さまざまな形で習執行部に揺さぶりをかけてくるはずです。たとえば、人民解放軍の尖閣強行上陸だってありえないことではありません。軍独断での強行作戦遂行で習指導部を慌てさせ、軍の主張を飲ませる意図です」

習近平政権VS 人民解放軍の熾烈な覇権争い。
世界がその動向を注視している。

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