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【武豊】すべての人に感謝したいGⅠ制覇

「よしっ、勝てる!」

 11月18日、京都競馬場で行なわれたGⅠ「マイルチャンピオンシップ」(芝1600m)。サダムパテック(牡4)の息遣いを背中から感じながら、僕は懸命に手綱をしごいていました。

 2カ月前、この連載をスタートするにあたり、「GⅠのタイトルを取りたい」「もっと勝ち星を増やしたい」「近いうちに必ずもう一度勝ちまくるので、もうちょっとだけ待ってください」と、読者のみなさんと約束を交わしました。

 まだ一つだけですが、こうしてGⅠのタイトルを手にできたことを、いまは共に喜びたいと思います。

 勝負になる。

 最初に感じたのは、天皇賞のときでした。

「このあと、どこを使うか決まっているんですか」

「いや、まだ決めていないけど」

「だったら、マイルCSにいきましょう。もし騎手が決まっていないなら、僕に乗せてください」

 と西園調教師、大西オーナーにお願いしていました。それだけに、「豊で勝てたことが大きい。彼は競馬サークルの宝だから」という西園調教師の言葉や、「この馬には武豊が一番似合うと思っていた」という大西オーナーの言葉には、胸が熱くなりました。

 唯一、誤算だったのは前日の大雨です。なぜか、GⅠになると大外のピンク帽ばかり。やっと1枠を引き当てたと思っていたところに、あの大雨ですから、これはもう、笑うしかありませんでした。

 こうなったら腹をくくるしかありません。大雨でインコースの馬場が荒れていようが、僕が取るべき作戦は一つだけです。

【久しぶりに聞いたユタカ・コール!】

 スタートを決め、道中は中団で内ラチ沿いをキープ。差し馬だけどジワジワと伸びていくサダムパテックの特徴を最大限に活かすため、坂の下りから緩急をつけずに追い出して、最後の直線で先頭に立つ。これに賭けていました。

 運が向いてきたと感じたのは、レース当日の朝、カーテンを開け、窓を全開にしたときです。前日の大雨とは打って変わってカラリと晴れ上がり、そのうえ、強めの風が吹いている。馬場が乾く条件を、すべてそなえていたのです。

 運。馬の底力。彼にすべてをかけた厩務員さんの想い。僕を信じてくれた調教師、オーナーの期待。そして、思うように勝てなくても、ずっと応援し続けてくれたファンの熱い声援……すべてが揃った結果の勝利でした。

 久しぶりに聞いたユタカ・コール。ダービーを勝ったとき以上にいただいたメールや電話。ゴールした瞬間、東京競馬場の検量室でも拍手が起こったということを伝え聞き、あらためて、自分の進む道が見えたような気がしています。

 サダムパテックの次走は、12月9日の「香港マイル」(芝1600m)の予定です。このレースも含め、今年も残すところあとわずかですが、この優勝を完全復活への足がかりにして、これからも、一つひとつ、全力で臨みます。

【武豊】すべての人に感謝したいGⅠ制覇

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