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第4回 埋められた窓のある部屋


岩井志麻子のあなたの知らない路地裏ホラー


若いOLの彼女は、結婚を前提に付き合っている彼と一緒に暮らす部屋を探していた。
あれこれ趣味みたいに部屋を見て歩くようになって、二人は意外なことに気づく。

「私も彼も、霊感なんてカケラもなかったのに。もしかして私達って霊感ある? と思うようになりました。なんか嫌な感じがすると私が思うと、必ず彼も思ってるんです。
一番印象に残っている部屋は、しゃれた外観で部屋も広くて交通の便もよくて築年数も新しくて、家賃も手頃、ここにしようよ、と喜んだんですが。中に案内されると、リビングのベランダ以外、外が見られる窓が一つもないのに気づきました。
建物の構造上、窓が作れないとか、窓を作っても意味ないくらい隣の建物が接近しているとか、そんなんじゃありません。よく見ると、壁には明らかに以前は窓があったようなんです。埋めてしまっているというか、封印してしまったというか、隠しているんです。その向こうは広々とした丘陵地帯で、窓があれば眺めもよさそうなのに。なんかこう腑に落ちない感じがして、彼と私はいったん部屋を出てみました。
そしたら……ちょうど私達が借りたいなと思っている部屋の、窓があったらきっとここがまっすぐ見えるはず、という場所に、お地蔵様と祠がぽつんと立っていました。何かの供養や祈りのためというより、このお地蔵様と祠そのものが怖いものだとわかりました。あの部屋にも影響があったんだな、とわかりました。たぶん前の住人が、お地蔵様と祠を見たくなくて窓をふさいじゃったんですよ」

ちなみにその後二人は良い部屋を見つけて借りたが、しばらくして別れてしまった。
霊感がきかなかくて部屋が悪かったのか、霊感ではない相性が悪かったのか、私にはわからない。

お地蔵様と祠の意味も、わからない。



岩井志麻子(いわい しまこ) プロフィール
1964年12月5日生まれ
A型
高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。 半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

 

第4回 埋められた窓のある部屋

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