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タクシー運転手24時「走る密室で起きた衝撃事件簿」 vol.1

[週刊大衆11月11日号]

「ここ最近、酔っぱらった客がタクシーで暴れる事件が次々と起こっています」
夕刊紙デスクがそう言うように、10月に入ってから立て続けに、タクシー運転手への暴行事件が発生している。

サッカー元日本代表・前園真聖(まさきよ)選手(39)が朝まで飲酒したあげく、帰宅タクシーから無賃下車、追いかけてきた運転手に暴行を働いて、現行犯逮捕されたのが13日(後に示談)。
その3日後には、大手出版社の漫画誌編集長が、初乗り710円を不払いのまま運転手の両腕をねじり上げ、「ぶっ殺すぞ」と脅し、強盗の疑いで逮捕された。
11日には有名女優の弟が運転手に骨折を負わせる事件も。
「加害者やその身内がたまたま有名人だったから報道されただけで、"走る密室"に暴力沙汰は日常茶飯事ですよ」と、個人タクシー運転手・小塚元久さん(66=仮名=以下同)が怒りを隠さず言う。

続けて、「この間、乗せた酔っぱらいもひどかった。40代半ばのサラリーマンふうで、乗った途端に、"車の中が臭い"とか、"運転が荒い"とか"道を知らない"ってケチをつけられ、交差点を過ぎてから"そこ左折だって言ったろ"と、いきなり運転席をドカーンと蹴り上げるんです。ビックリして急ブレーキ踏んだせいで、軽いムチ打ちになっちゃいましたよ」

運転手歴8年の赤沢良成さん(57)が、深夜に国際色豊かな六本木から乗せたのは、泥酔した二人連れの外国人だった。
「筋肉ムキムキのアフリカ系の男たちでしたね。ひどく酔ってて、何を言ってるのかサッパリわからない。訛りの強い英語で"ファッキング"と怒鳴るのだけが聞き取れました。言われたとおりに運転していたつもりでしたが、右折した途端に、後ろから丸太ん棒のような腕が伸びてきて、思いっきり顔面を叩かれました。眼鏡は飛んじゃうし、顔は腫れ上がるし、殺されるんじゃないかと思いましたよ……」
この二人組、信号待ちの間に平然と無賃のまま降りて行き、赤沢さんは茫然としたまま身動きできなかったという。

前出のデスクが解説する。
「いまでは、東京や大阪など大都市圏の法人タクシーの3分の2以上に、防犯カメラが設置されているんです。運転手がその録画画像をいじることはできないようになっていて、犯罪が発生した際には、警察が照会する場合もあります」

車内に「防犯カメラ作動中」などと書かれたステッカーが貼られているのを見た人も多いだろう。
「これにより、客と運転手間のトラブルや犯罪は減少したそうですが、なくなるわけではありません」(全国紙社会部記者)

本誌が取材したなかには、強盗に遭ったという運転手も少なからずいた。
運転手歴20年の稲村清志さん(57)もその一人。
「二人組の客でしたが、一人がなぜか助手席に乗り込んできて、ちょっと妙だとは思ったんですよ。大井埠頭のほうに向かわされたんですが……」
人けのない埠頭で車を停めた途端、「すまんが、ワシら、カネないんや。貸してくれんか」稲村さんが丁寧に断ると、「貸せへんのやったら、カネ寄こしてもらおか」と、ナイフを出してきたという。
「命が惜しいから、抵抗せずに売上金を渡しました。早い時間だったので、額も知れたものでしたし。釣銭の千円札の束は、別にポケットに入れてたから、被害は最小限で済みましたよ」(稲村さん)

ちなみに全国のタクシー運転手の平均年齢は、56・8歳(平成23年、厚労省調べ)。
アクション映画よろしく犯人を取り押さえるのは、年齢的にもいささか心もとないだろう。

都内の法人タクシー会社に勤務する大沢駿一さん(62)がこぼす。
「ウチの会社の場合、運転手には売上ノルマが課されています。ノルマを達成すると、売上金額の5割強がもらえますが、届かない場合は、歩合は10%以上減ってしまう。だから、自分で穴埋めする運転手はざらにいますよ。それでも、手取りは30万円を超えません。だから仲間内では、"こんな商売、年金でも貰ってないと、やっていかれないな"なんて話しています」

言い換えれば、タクシー運転手の高齢化はますます増える傾向にあるのだ。

11月9日公開のvol.2に続く・・・。

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