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プーチンが中国に授けた「東シナ海米軍機動部隊壊滅作戦」虎の巻

[週刊大衆06月30日号]

〈"反米反日"共同戦線結成、中露関係は空前の緊密さ〉(シンガポール華字紙・聯合速報5月23日付)と報じられるほど、今、中国とロシアは国内外に親密さをアピールしている。
その象徴的な出来事が、5月20日から7日間にわたって行われた東シナ海北部での中露合同軍事演習「海上連合-2014」だった。

中国側は"中国版イージス艦"と呼ばれる最新鋭防空ミサイル駆逐艦「鄭州」などを、ロシアは太平洋艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「ワリャーグ」などを派遣。

「演習に参加したのは、両国合わせて艦艇14隻、潜水艦2隻、固定翼機9機、艦載ヘリ6機など。さらには、両軍の特殊部隊も動員される大規模なものでした。中国にしてみれば、日中両国間に横たわる尖閣諸島問題への牽制であり、同時に東南アジア一帯の覇権を握る米軍への挑戦状の意味合いがあったんです」(防衛省関係者)

これまで、幾度となく国境紛争を繰り返し、"犬猿の仲"だった両国の関係が改善したのは01年。

中国の江沢民主席(当時)とロシアのプーチン大統領が握手。
中露善隣友好協力条約の締結に至ったのだ。

「当時、プーチン大統領は強大化する中国との関係を、対抗するか協調で行くかで思案。その結果、協調せざるをえないと考え、懸案だった中露国境問題を譲歩して決着。中国の力を、中露国境から"南"に向けることに成功しました」(前同)

一方、覇権を狙う中国は、超反米のプーチン大統領を味方につけて周辺国を威圧する狙いが見え見えだった。

「両国とも、中露接近をカードとして使い、対米外交で優位に立とうとの戦略で合致していたんです」(外務省関係者)

ロシアを味方につけ、東シナ海や南シナ海への侵攻を図ろうとする中国と、同地域の覇権死守を国是とする米国。
衝突は必至だ。

「海洋権益を求めて拡大政策を取る中国軍にとって、最大の障害が世界最強の米海軍、横須賀を拠点とする第7艦隊です。原子力空母ジョージ・ワシントン以下、ミサイル巡洋艦、イージス艦を展開されたら、中国軍は手も足も出せません。中国軍もようやく空母『遼寧』を就役させましたが、運用実績に乏しく、まだまだ戦力としては計算外。そこで、潜水艦戦力を拡大することで、米海軍に一矢報いようとしているんです」(軍事ライター・黒鉦英夫氏)

中国は、ロシアから高性能キロ級潜水艦12隻を購入。

そのうち8隻が巡航ミサイル発射型(1隻144発)だ。
巡航ミサイルとは、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行するミサイルのこと。中国潜水艦は、南シナ海深部400~500メートルの海底に潜み、標的に向け巡航ミサイルを一斉放射!

世界に冠たる米第7艦隊も危うし!?

かと思いきや、軍事評論家の神浦元彰氏によれば、
「対策は万全です。鹿児島から与那国に至る海中に、水中マイクロフォンをくまなく設置。中国潜水艦が通れば、すべて把握して追尾。動向を監視しています」
同システムは、自衛隊と米軍が共同で運用管理に当たっているという。

「東シナ海は日本の海上自衛隊、南シナ海は米海軍。黄海は韓国軍が中国潜水艦の動きを仔細漏らさずキャッチ。また、台湾とフィリピンのバタン諸島との間にあるバシー海峡には、常に海自潜水艦1隻が控えており、秘密最終兵器と豪語する中国潜水艦の動向は丸裸です」(前同)

かように、期待の潜水艦戦力も望み薄で悩める中国。

「そんな中国に、百戦錬磨のプーチン・ロシア軍が、"対米必勝作戦"を授けたというんです」(軍事記者)

その秘策、題して"飽和攻撃大作戦"。
「飽和攻撃とは、短時間で一斉に、あるいは連続してミサイルを発射する攻撃法です。ミサイルを敵艦めがけて雨アラレと連射することで、たとえば米軍が誇るイージス艦(200を超える目標を追尾し、その中の10個以上の目標を同時攻撃できる能力を持つ)を無力化。"量で質を制する"作戦です」(前同)

軍事評論家の菊池雅之氏が言う。
「現在、飛んでくる敵ミサイル防御は、対空ミサイルで撃ち落とすしかありません。ですので、極東アジアに君臨する米第7艦隊といえども、飽和攻撃の前に苦戦は否めません」


"虎の子"の本当の実力は?

中国の"飽和攻撃大作戦"は、ひと言で言えば、対艦ミサイルでの一斉攻撃。
この飽和攻撃で、米軍のイージス防空網撃破は十分に可能だと、自信を深めているというのだ。

だが、はたして、本当に胸を張るほどの脅威となっているのだろうか?
検証してみた。

まずは、中国軍最新の対艦ミサイルYJ- 83(鷹撃- 83。射程200キロ。終末航程では高度5メートルをマッハ2で突入)。

中国軍の艦艇から発射する。
「これは、もともと対台湾攻撃用として配備されたものです。動かない目標にはそれなりの効果を発揮するでしょうが、複雑な動きを繰り返す米空母に通用するとは思えません。"ほぼ当たらない"というのが、多くの軍事関係者の一致した見方です」(前出・神浦氏)

そこで中国軍が"虎の子"として想定しているのが、対艦巡航ミサイルだと言う。

自衛隊関係者が解説する。
「中国軍が誇る最新鋭巡航ミサイルDH- 10(長剣10号)は、射程1500キロの長距離巡航ミサイル。精密誘導システムによって命中精度も誤差10メートルの精度と公称しています。1000キロを超える長大な射程を持つ巡航ミサイルで敵艦を狙う場合、こちらは艦艇から発射する必要はありません。艦艇から発射する場合は、自艦が撃沈されてしまったらおしまい。それが巡航ミサイルなら、沿岸部に展開して安全に発射できますし、敵艦隊が迫っている場合は、内陸部から発射することも可能なんです」

米軍の主力巡航ミサイル・トマホークにも匹敵する強力兵器だと、中国軍は鼻高々だ。
10年時点で中国沿岸部に250基配備され、睨みを効かせている。

同・自衛隊関係者が言う。

「しかし、中国は巡航ミサイルを語るうえで欠かすことのできない精密誘導技術に難があります。標的に最終突入する終末誘導システムが心もとないんです。トマホークの場合は、終末誘導に当たりレーダー識別、画像識別と複雑な処理工程を経て、標的に的確に突入します。ですが、中国の場合は精密誘導システムで頼りとなるのはGPSくらい、と言っても過言ではありません」

軍事ジャーナリストの井上和彦氏も、
「中国のミサイル兵器は実戦に使用されたことがなく、肝心の精度は不明。兵器としては致命的欠陥ありと言わざるを得ません」
と、その実力に疑問符を投げかける。

「飽和攻撃は冷戦時代に旧ソ連が考え出した米軍対策。プーチン・ロシアは、それを今度は中国にやらせようと、けしかけているんです」(前出・軍事記者)

なりふり構わぬ中国の悪あがきは、はたして……。

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