日刊大衆TOP 娯楽

【武豊】変な癖を出すのも"いつも通り"の証拠

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
変な癖を出すのも"いつも通り"の証拠



緊張すると口数が多くなる。
好きな人の前に出ると前髪を触りたがる。
照れるとなぜか鼻の下をこすっちゃう――
世の中にはいろんな癖を持った人がいます。

嘘をつくと斜め45度を見る人もいれば、同じ嘘でも、額や鼻に手を当てる人もいるそうです。

じゃあ馬はというと、馬にもそれぞれ、いろんな個性があり、癖があります。

よくあるのは噛み癖です。
甘えて噛む馬もいれば、怒りにまかせて噛んじゃう馬もいるし、なかには、前にいた馬のオシリにガブッと噛みついた馬もいます。

えっ!?
理由ですか?

性格がドSで……と言いたいところですが(笑)、さすがに僕もそこまでは馬に聞いていないので、今も謎です。

癖と言っていいのかどうか微妙ですが、レースでは全力を出すのに、調教では真面目に走らない馬。
内へ内へと斜行する馬や、逆に外ラチに向かって突進する馬もいます。

そのほかにも、馬房にこもって出てこない馬。
右回りのコースでは恐ろしいほど強いのに、左回りになるとまったく走らなくなる馬。

犬やネコが大好きという馬もいます。

これまで僕が出逢った中で、最高に変な癖を持っていたのは、日本調教馬ではじめて海外のGⅠフランスの「アベイユ・ド・ロンシャン賞」と、イギリスの「ジュライC」を勝ったアグネスワールドと、ケガさえしなければ、ダービー馬になっていたかもしれない"幻のダービー馬"マーベラスサンデーです。

奇しくもこの2頭は同じ癖を持っていたのですが、それが、なんと……レース前、輪乗りのときに、必ずおしっこをするという癖。

そういう2頭と巡りあったというのも、きっと驚くべき確率だと思います(笑)。

アグネスワールドは、「アベイユ・ド・ロンシャン賞」の前も、いつもと変わらず、輪乗りのときにジャー。
マーベラスサンデーも、GⅠ「宝塚記念」の発走を前にジャー。

どんなに大きなレースでも、スタンドが超満員のお客さんで埋まっていても、少しも動じることなく、お構いなしに用をたす姿は、おかしくもあり、頼もしくもありました。
いつもどおりわかっていてもなかなかできないものです。

もうひとつ。
マーベラスサンデーには、早めに抜け出すと気を抜くという悪い癖もあって。
ギリギリまで我慢して、最後の最後に抜け出すのが唯一の勝ちパターンという騎手泣かせの馬でもありました。

今週、6月29日は、このマーベラスサンデーが、完璧な形で優勝した思い出のレース、GⅠ「宝塚記念」が、阪神競馬場を舞台に行われます。

第1レースから、最終の12レースまで。
数多くのサラブレッドが、みなさんの前に登場します。
なかには、意外な癖を持った馬がいるかもしれません。

それを生で見られるのは、競馬場だけです。

2014年春、最後のGⅠレース。
どうぞ、競馬場に足を運んで、レースを、馬の癖や個性を愉しんでください。



■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】変な癖を出すのも

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.