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プロ野球今季ブレイク雑草ヒーローたちの「ド根性成り上がり秘話」

[週刊大衆07月21日号]

プロ野球は実力の世界。毎年、甲子園のスターや大学、社会人野球の有力選手が名を連ねるドラフト会議は、大きな話題を呼ぶ。

その一方で、無名ながら努力を重ねて這い上がり、夢の舞台で輝きを放つ選手たちがいる。
その代表が、今年のオールスターファン投票の中継ぎ部門で初選出された、広島カープのセットアッパー・一岡竜司投手(23)だろう。
「2011年のドラフトで3位指名で巨人に入団し、二軍で抑えとして活躍しました。昨年は一軍でも9試合に登板して"さあ、これから"という時に、FAでジャイアンツに移籍した大竹寛投手の人的補償としてカープに移籍することになったんです」(夕刊紙記者)

150キロ超のストレートとフォークを武器に新天地でセットアッパーを任された一岡は、開幕2戦目の中日戦に二番手として登板。1イニングをピシャリと抑え、プロ初ホールドを記録して、5月25日の西武戦では初セーブも挙げている。6月9日に右肩痛で登録抹消されたが、23試合に登板して1勝2セーブ12ホールドと、まさに快進撃だった(7月2日現在=以下成績同)。

怪我も順調に回復し、実戦復帰は間もなくだ。そんな一岡がプロ入り前の3年間を過ごしたのが、福岡市にある専修学校のコンピュータ教育学院の硬式野球部である。社会人リーグにも加盟し、そのレベルの高さで知られる同野球部の林亮介監督は、かつての教え子の活躍に目を細める。

「巨人より選手層が薄い広島に移ったとはいえ、正直、ここまで活躍するとは嬉しい誤算です(笑)。プロでスプリットを覚えたことも大きかったと思います。入学してきた一岡は上のレベルで野球をやりたい、プロを目指したいというので、まず体重を増やすためにウェイト(トレーニング)をしっかりやらせました。最終的に体重は15キロ、球速も20キロ増し3年の4月には150キロを投げるなど、プロからも注目される存在となりました」

同学院で大きく成長した一岡だが、林監督は一度、きつく叱ったことがあったという。

「私も九州三菱自動車で社会人野球をやってきましたので、野球を職業にする心構えの大切さを生徒にはいつも厳しく伝えています。一岡のときは、インターバル走で手を抜いていたので、"そんな姿勢なら野球をやめたほうがいい"とボロっかすに言いました。そうしたら、彼は涙を流して"やらせてください!"と。この性格の素直さが彼の一番の良さでしたね」

古巣のお祝に花を贈った又吉

昨今のプロ野球に目を向けると、一岡のように長年の苦労が実って一気に花開く"雑草ヒーロー"の存在が目立つ。

野球解説者の江本孟紀さんは、こう言う。

「二軍でくすぶっている元エリート選手よりも、条件の悪いところで、上を目指して努力する選手のほうが、成功する可能性が高いんですよ」


最低保証年俸240万円の「育成枠」から這い上がり、今、最高に輝いているのがロッテの守護神・西野勇士投手(23)だ。

「富山県の新湊高校のエースだった08年、県大会決勝で負けて甲子園は未経験。本人はプロ志望ながら、無名だったため、育成枠の5位指名で、なんとかロッテ入りを果たした。ドラフトの指名順91番目という"評価"です」(前同)


4年間の下積み生活を経て、今シーズンからクローザーを任され、71試合中31試合に登板。16セーブ3ホールド、防御率2・25の成績を残している。

また近年、雑草ヒーローの新たな"出身母体"になっているのが、日本各地に根を張る独立リーグだ。

先鞭(せんべん)をつけたのは、ロッテの角中勝也外野手(27)。

四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグス出身の角中は、06年に大学・社会人ドラフトで7巡目指名されてロッテに入団。球団関係者をして

「あれだけ練習した男はいない」

と舌を巻くほどの練習の虫だった。その努力が実り、12年、独立リーグ出身者としては初めてのタイトルホルダー(首位打者)に輝いている。

また、今年になって頭角を現した独立リーグ出身選手の代表が、中日の又吉克樹投手(23)だ。

「角中と同じ四国アイランドリーグの香川オリーブガイナーズ出身の選手です。又吉は環太平洋大学から香川に入団すると、昨シーズン、ルーキーながら同リーグで最多勝(13勝)と、前期MVPを獲得。その活躍に目をつけた中日が、昨年ドラフト2位という早い順位で指名しました」(在京球団スカウト)

今年はすでに28試合に登板し、4勝4ホールド、防御率3・63。中継ぎの中心として活躍している。香川オリーブガイナーズの近藤達洋ゼネラルマネージャーは、こう語る。

「又吉は昨年、中日からドラフトで指名されたあとも、ルーキーの仕事である"道いと具出し"のような雑用も厭わず、最後までやり通しました。また、ドラフト後にスポンサーや知事のところに表敬訪問に出かけた際も、物怖じせず、自分の言葉で質問にしっかり応えるような頭の良さもある選手でしたね」

今年、香川オリーブガイナーズが創立10周年を迎えた。又吉はその開幕に合わせ〈中日ドラゴンズ・又吉克樹〉の名で、わざわざ花を贈ってきたという。

「気配りもできるし、人間的にも素晴しい。彼なら、たとえ野球以外で世の中に出ても、しっかりやっていけると思います」(前同)

また、現在オリックスで活躍するアレッサンドロ・マエストリ投手(29)も、12年まで同チームに在籍していた。日本プロ球界初の生粋のイタリア人選手でもあるマエストリは、WBCイタリア代表選手であり、活躍の場を求めてアメリカやオーストラリア、日本と渡り歩いた苦労人だ。

「彼は野球の実力もさることながら、日本の文化に親しもうと必死の努力をしていました。こうした選手がプロでも成功するんだと思います」(同)

同じ外国人選手では、広島のライネル・ロサリオ外野手(25)も雑草組の一人。1989年にドミニカ共和国で生まれ、09年のルーキーリーグを振り出しに、アメリカのマイナーリーグでプレーした後、13年にカープアカデミー(ドミニカ共和国)入り。そこで見出されてカープにテスト入団し、見事、支配下登録を勝ち取った。規定打席未満ながら現在、打率3割4分7厘、本塁打7本と大活躍している。

「外国人枠の関係で当初はあくまでも"キラの代役"でした。ところがキラの不振で、代わりに一軍に定着。全力プレーに加え、パンチ力もあるので5番に定着しました。明るいキャラで、チームメイトにもイジられてますよ」(スポーツ紙広島担当記者)

才能ひしめくプロ野球においては、期待されて入団しながら芽が出ず、人知れず辞めていく選手も多い。そんな中、本来の"ポジション"に見切りをつけたことで、花開いた選手たちもいる。

その代表が、西武の木村文紀外野手(25)だ。野手転向3年目の今年、がっちりとレギュラーポジションをつかんだ。

「木村はもともと地元・埼玉栄高のエースで、甲子園に出場したスター選手。06年の高校生ドラフトで1位指名されました。投手としてはケガもあってうまくいかず、12年に野手転向を決断した。昨年、野手として初安打、初ホームランを放ち、8年目の今年、やっと一軍に居場所を確保しましたね」(前出・スカウト)

ノムさんのダメ出し選手が大化け

ヤクルトの雄平外野手(30)も、打者転向で成功した。東北高出身で150キロを投げる"高卒ナンバーワンサウスポー"として注目され、02年、鳴り物入りでヤクルトに1位入団した。

「入団1年目に初勝利を挙げましたが、コントロールが安定せず、信頼を勝ち得られませんでした。高校通算36本塁打と、もともと高かった打力を活かそうと8年目に野手に転向。
昨年は大怪我に見舞われ、今年やっとブレイク。現在3割の打率をキープし、ホームランも13本。セの上位チームとの対決で打ちまくっており、特に巨人戦では打率4割超え。今やヤクルト打線の中核です」(デスク)


捕手から打者にコンバートするケースもある。昨年、捕手から外野に転向するや、トップバッターに抜擢され、チームの日本一の立役者となったのが楽天の岡島豪郎外野手(24)。

「プロ1年目のキャンプで、当時の野村監督からケチョンケチョンにけなされ、とても一軍どころではなかった。嶋基宏が正捕手でいる以上、レギュラー獲得は厳しいことから、自ら外野手に転向志願したのが13年。今年は外野のレギュラーを奪取しました。足の速さやバッティングセンスは定評がありましたが、本人の必死さの賜物ですね」(前同)

努力に勝る才能なし。コツコツと積み重ねたモノは、いつか必ず実を結ぶ。

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