日刊大衆TOP 社会

50年に一度 殺人豪雨がもたらす「ドライバー車中死」防衛マニュアル

[週刊大衆07月28日号]

ここしばらく立て続けに豪雨に見舞われている日本。
7月だけでも、3日に長崎県を「50年に一度」の集中豪雨が襲い、9日には沖縄県が台風8号の影響で
「これまでに経験したことがない」大雨に遭っている。

その直前の6月25日には、関東各地で猛烈な雨が降り、埼玉県朝霞市では午後2時からの1時間で105・5ミリの雨量を記録した。

「東京都も含めた都市部の排水機能は、1時間で50ミリまでの雨量しか想定していません。つまり、それ以上の降雨だと排水機能を上回り、局地的に街の一部が水没してしまうんです」(東京都の防災関係者)

実際、朝霞市に隣接する和光市では、25日の大雨で東武東上線の和光市駅付近の路上が冠水。

ワンボックスカーが水没しそうになり、駆けつけた警察官が窓ガラスを割って運転していた女性を脱出させ、ゴムボートで救う事態となった。

「実は、集中豪雨の冠水で怖いのが車の水没なんです。2010年には、栃木県鹿沼市で45歳の女性が軽自動車で冠水した道路にハマってしまい、車ごと沈んで水死するという事故も発生しています」(前同)

その日の同市の雨量は1時間85ミリ。
前述した朝霞市の雨量を下回っても、こうした惨事が起きるのだから決して他人事ではない。

そこで、"水没車"の実態に迫るべく日本自動車連盟(JAF)に問い合わせると、昨年夏(6?8月)に車が水没したことによるロードサービスの出動件数は、全国で505件あったという。

しかも、今年に入っても、6月25日の豪雨では、関東エリアだけで1日に55件も出動したそうだ。

JAFのデータを分析すると、8月の出動件数は7月のほぼ2倍。
つまり、これからの季節、車の水没被害の危険度はますます高まるのだ。

ドライバーに「車中死」をもたらしかねない"殺人豪雨"。
その悲劇を避けるためには、まず、危険な場所を知る必要がある。

その筆頭が、立体交差で掘り下げられた「アンダーパス」部だ。
今年6月の豪雨では、3台の車がアンダーパス内で水没し、10年の鹿沼市の事故も東北自動車道の高架下の道だった。

しかし、くるま総合研究会代表の相川潔氏は、アンダーパスだけに注意しても不十分だと警鐘を鳴らす。

「今では排水機能が改善されましたが、以前、横浜駅の東口は冠水しやすいことで有名でした。このような都心ですら危険と隣り合わせでしたから、ある意味、どこでも水没は起こると思ったほうがいいでしょう」

危険な場所はどこにでも潜んでおり、しかも集中豪雨は、いつ発生するかわからないとなれば、ドライバー自身が、いざという時に慌てないための防衛術を身につけておく必要がある。

相川氏によると、
「車は、せいぜい路面から15センチ程度の高さの冠水部しか走ることができません。それ以上では、エンジンに水が入る恐れがあります。目安は、タイヤのホイール部の下に水が達するかどうかですね」

とはいえ、運転中は道路の水深に気づきにくいうえに、仮に車の床面以上の冠水部に入ったとしても、ただちには車内に浸水してこないため、危険に対して"鈍感"になっているという。


いざという時の必須対応策!

また、水深をクリアしたとしても、別の危険にも注意が必要だ。

「時速30キロに速度を落としても、水が溜まった部分に突っ込むと、ものすごい水しぶきが上がって前方が見えなくなり、それが原因の大事故につながるかもしれません」(前同)

では、もしも誤って、深い冠水部に突っ込み、車が浮いてしまって走行不能に。
しかも排気管が水圧で塞がれてしまい、エンジンが停止してしまったら、どうすればいいのか。

「その場合、諦めずにエンジンをかけ続けてください。再始動できたら、できるだけ水深の浅そうなルートを選ぶ。前進する場合は"ギアを1速"にした状態で走行してください」(同)

問題は、エンジンが再始動しなかったケースだが、まず第一に、シートベルトを外すべきだという。

冠水路の水位が深いと、車は重いエンジン部分から先に沈み、前に傾き、場合によってはシートベルトが外せなくなるそうだ。

「さらに、ドアも水圧がかかって開きにくくなっています。その場合の脱出路は窓。後部座席の窓を開け、"箱乗り"のような姿勢で背中から脱出してください」(同)

窓が開かない場合は、窓ガラスを割るしかない。
相川氏が、こう続ける。

「その際にも割るのは後部座席の窓。車が前に傾いていると、ドアや窓にものすごい水圧がかかっています。水深1・3メートルで運転席の窓ガラスを叩き割る実験に立ち会ったことがありますが、水と一緒にガラス片が運転席を襲い、それだけでパニックに陥りますよ」

しかし、車の窓ガラスはそう簡単には割れない。
より被害が多くなる8月が来る前に、ドアポケットに入るくらいの緊急脱出用のハンマーを備えておくことが、生死を分けそうだ。

「そうした『レスキューハンマー』は3000円前後で売っています。
手首のわずかなスナップで窓ガラスを割ることができますので、性別、年齢を問わずお使いいただけますよ」(防災グッズ専門店の店長)

いつ、どこで被害に遭うかわからない豪雨による車の水没事故。
こうした知識と備えが、あなたを車中死から救ってくれるはずだ。

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.