日刊大衆TOP 娯楽

【武豊】落馬事故で戦列を離れることに

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
落馬事故で戦列を離れること



7月20日、中京競馬の第6レース。

騎乗していたトーセンデュークが、ゲートを飛び出した直後につまずき落馬。右手親指を骨折してしまいました。

落ちた瞬間は、「なんとかなるかな」と思いましたが、自分の足で検量室に戻る間に、痛みがどんどん強くなり、競馬場内にある診療所でレントゲンを撮っていただいたところ、あきらかにそれとわかる亀裂が入っていました。

落馬による骨折は今回が5度目です。01年に左手首、02年は骨盤骨折、08年は右腕、4度目、10年のときは、左鎖骨遠位端骨折、腰椎横突起骨折、右前腕裂創で、 自分でも思っていなかったほど、長期間の休養を余儀なくされてしまいました。

皆さんもそうでしょうが、仕事上、起きるかもしれないトラブルに関しては、ある程度想定し、その対処法も頭の中に入れてあります。

競馬なら、スタートで出遅れたらどうするか。前を走る馬が、横を走る馬がヨレたらどうするか。想定はしていなくとも、過去の経験から、瞬時に判断することもできます。

商売をしている方は、注文した品物が届かない場合、こうやって乗り切ろうという次善の策があり、会議や商談が多いサラリーマンの方は、交通機関の乱れによって約束の時間に遅れないようにするために、別の方法を持っているはずです。

しかし、そんな人でも、ひとつだけ、想定していないのが怪我や病気です。馬がゲート内で暴れ、出遅れることを頭の隅においてあっても、スタート直後につまずくことは考えてい ません。まして、そのために自分が落馬し、骨折するなんてことは完全に意識の外にあります。


まず完治が最優先8月中に戻ります

幸いと言っていいのかどうかわかりませんが、3度目までは恐ろしいほどの回復力で現場に復帰することができました。

特に、2度目の骨盤骨折のときは、復帰まで5か月と診断されたにもかかわらず、わずか8週間で戦列復帰。その1か月後には、タニノギムレットをパートナーに日本ダービーを制していました。

強い意志と気力さえあれば多少のことはなんとかなる。

それが、僕の信念のようなものになっていました。

しかし、病気やケガはそれではどうにもならないと思い知らされたのが、4度目の落馬骨折のときでした。

―すこしくらいの痛みなら……。

その甘さが、負の連鎖に陥るきっかけを作ってしまったのです。

今回の事故でご迷惑をかけた調教師の先生をはじめスタッフ、馬主さん、ファンのみなさん、そして、誰よりも自分自身のために、一日でも早く復帰したいという強い想いは、今までと少しも変わりません。

でも、同じことを繰り返さないためにも、まずは完治することを再優先に、できることから始めようと思っています。

とはいえ、痛みと骨折の程度を考えると、そんなに長くはありません。

8月中には、また競馬場で皆さんにお会いできると思います。



■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

【武豊】落馬事故で戦列を離れることに

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.