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美人怪談師 真夏の恐怖夜話 第1夜

2014-08-07

8月のホラー特集 宍戸レイ


これは私がポールダンサー時代に、同じダンサーだった友達Mが体験した話です。

ある夜、Mと当時付き合っていた彼氏Kは、面白半分で都内でも有名な某SMホテルに入ってみることにしました。ダンスは少々過激で挑発的なスタイルのMだったけれど、プライベートではノーマルで、いわゆるSMプレイは全くの未経験だったとか。ましてやSM専門ラブホテルなんていうのは未知の世界。夜も更けて十分酔っ払った2人は、どんな所か見てみようと興味津々でそのホテルに足を踏み入れたのです。



いざ、部屋に入るとMは明らかに異様な空気を感じました。

それは赤と黒に彩られた、非日常的な内装のせいだけではありませんでした。

ついさっきまでドアを締めずにシャワーが出しっぱなしにされていたような、部屋に立ちこめる重たい湿気と、全身で感じる嫌な予感……。Mは少したじろぎましたが、せっかく彼氏と盛り上がっていたムードに水を差すのは気がきかないと思って平然を装ったのです。

2人は奥に進むと、見たこともない形をした物に興味を奪われました。

それは手枷や足枷のようなものがついたベッド。

「ちょっと乗ってみてよ」といわれるがまま横になると、彼はMに足かせをハメました。

そのとき、"左のふとももの上"をなにかに抑えられたような感触が。

グリッと体重がかかり、Mが驚いて顔をあげると彼の両手はまだ右足首の足かせにあったのです。

"あれ? おかしい"と感じたMの不安そうな顔を見て彼氏も焦り「やっぱりやめよっか」と優しく足かせをほどきました。

気を取り直して2人はお風呂に入りましたが、Mの耳元には低いうなり声が聞こえていたのです。彼でもない、テレビでもない、出どころのわからない声でした。

彼が先に湯船から上がったので怯えて追いかけるM。

急いで体を拭いていると、ベッドルームから彼が呼ぶ声がしました。

「M~?」
「なにー??」

体にタオルを巻いて顔を出すM。

「?! Mの顔が違う!!」
「え!?」
「あ、戻った……?」

"もうダメだ"と、ここで彼女の忍耐は限界を迎えました。



「今すぐ部屋を出たい」というMに彼氏もすぐに同意し、ホテルから逃げ出すと空気がふっと軽くなった感じがしたそうです。その後、部屋で起こった出来事を伝えると、「実はオレもずっと嫌な感じがしていた」と語ったそうです。

「もうSMは懲り懲りになっちゃった」

相変わらずドSな衣装に身をつつんで、Mは話を終えたのでした。


宍戸(ししど)レイ プロフィール
怪談作家にして女優、モデル、ダンサーとして活躍。英語とスウェーデン語の通訳もこなす才女。2009年「幽」第一回怪談実話コンテスト優秀賞受賞。ホラー、オカルト、スプラッター、デスメタルなどが好き。

ホームページ■http://www.shishidorei.com
Twitter■@shishidorei1

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