■道枝版にも期待したくなる「準レギュラーの人気アイドル」を演じた女優

『仏蘭西銀貨殺人事件』は、「殺人を金田一に悟られないように怯えながら葬送銀貨の指令を遂行していく」というストーリー構成上、吹石目線のシーンが実に多い。当時から女優としてキャリアが多かったことから、目ざとい金田一の推理に目が泳いだり、標的を凝視する際などの表情の演技、「私はもう弱くて金田一くんに泣きついてた私じゃないの!」と虚勢を張る演技などなど、実に安定感のある芝居を見せてくれていた。ちなみに事件解決のヒントが「フロッピーディスク」や「携帯電話のストラップ」なのが時代を感じる。

「最後に、第6話の『速水玲香誘拐殺人事件』。原作では準レギュラーで人気アイドルの速水玲香(はやみ・れいか)がマネジャーの安岡保之(岩本恭生)と一緒に誘拐され、身代金1億円を命がけで金田一が運ぶも……というストーリーです。

 ドラマ版では原作で玲香が金田一と出会うキッカケになった『雪夜叉伝説殺人事件』がすでに初代のKinKiKids堂本剛(42)版でやっていた都合上設定がリセットされ、金田一と玲香は“小学校時代の初恋の男子”という設定に変えられています」

 いわゆる“清楚系”の原作と違い00年代のアイドルらしいギャル風のビジュアルの玲香を演じたのは、当時人気グラビアアイドルで、今年も1月8日スタートのドラマ『シジュウカラ』(テレビ東京系)で活躍している酒井若菜(41)だ。もっとも、ビジュアルがギャル風なだけで性格は原作とほとんど変わっていない。

原作の玲香(画像は『雪霊伝説殺人事件 下』/講談社)より

「ちなみに、堂本版で玲香を演じたのは、やはり当時人気若手女優だった中山エミリ(43)でした。原作で玲香が登場する事件は『錬金術殺人事件』や『黒霊ホテル殺人事件』など、まだドラマ化されてない話も多いので、道枝版で三代目・速水玲香が見れるかもしれませんね」

 今にして思えば非常に豪華なメンツばかりの松本版金田一。道枝版のわき役にも、未来のスターが紛れているに違いない!

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