飯間浩明(撮影・弦巻勝)
飯間浩明(撮影・弦巻勝)

 あなたは、知らない言葉に出会ったときどうしますか? 最近は、おそらくスマホでネット検索することが多いのではないでしょうか。

 インターネットは非常に便利です。すぐに言葉が出てくるし、意味も詳しく書いてあります。こういう時代には、わざわざ国語辞典を買って、手元に備えておく必要はなくなったようにも見えます。

 ただ、ネットの説明にも不満があります。一般語を検索してみると、ある場合は説明が不十分だったり、ある場合は冗長だったりして、ストンと胸に落ちないことが意外に多い。

 それに、ネット情報には、いわゆる“フェイク”がかなり含まれています。嘘の語源説明が検索の上位に来て、多くの人に参照されているということも珍しくありません。

 そこで、国語辞典を参照していただきたいんです。私たち辞書の作り手は、それぞれの言葉を、十分な根拠に基づきながら、誰にでも分かりやすいように、簡潔に説明することを追求しています。

 私が編纂者として関わっている『三省堂国語辞典』は、昨年12月に第8版が出版されました。この辞書は、“三国”という愛称で60年以上親しまれていますが、言葉を現代的な視点で説明することに重きを置いています。最新版では、第7版が出た8年前から現在までの間に使われるようになった約3千5百語が追加されました。「インフルエンサー」「ソーシャルディスタンス」「フレイル」など、テレビや新聞・雑誌でよく目にするけれど、正確な意味はよく分からない……という言葉もたくさん入っています。

 今は、重くてかさばる紙の辞書だけではなく、スマホに入れられるアプリ版もあります。紙の辞書と同じ内容を提供していますから、便利に使っていただけると思いますよ。

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