■「10割打ちたい」と公言

 実際、鈴木は「10割打ちたい」と常々、公言。主力選手になっても、室内練習場から最後に出てくるのは決まって鈴木だったという。

「打撃投手の方から“投げていて恐怖を感じたのは前田智徳さん以来”と聞きました。プロ入り時の打撃コーチだった緒方孝市さんも、“あいつは凡退すると人を殺すような目になる”と言ってましたね」(同)

 ただ、ストイックさと、茶目っ気たっぷりの一面が同居するのが、ファンから愛される彼の魅力なのだ。

「当時コーチだった石井琢朗さんに“備えあれば、何だ?”と聞かれて、“準備なし!”と即答するなど、野球を一歩離れると、すごくピュアで、かわいい(笑)」(同)

 持ち前の人懐っこさは、野間(峻祥)や堂林(翔太)といった先輩選手にも発揮された。ある日の堂林宅では、こんなことがあったとか。

「これは奧さんの枡田絵理奈さんから聞いたんですが、彼女が帰宅したら、ふだんから入り浸っていた鈴木選手が、堂林選手の膝枕で寝ていたとか。その光景に“仲いいのはいいけど、それは、さすがにどうなの?”と呆れたらしいです」(同)

 鈴木の堂林愛は深く、「一時は堂林家の家族写真にも普通に映り込んだり」(同)していたそうだ。

 打席に立つ前には、球場のビジョンで映される選手紹介の映像で、変顔や変なポーズを披露するなど、茶目っ気たっぷりの鈴木。はにかみ屋の大谷とは性格がまるで好対照にも思えるが、共通点も数多い。2人に通じるすご味を如実に伝えるのが、現在も愛用するスパイクにまつわる秘話だ。

「大谷選手と鈴木選手は、ともにアシックスが作った、めちゃくちゃ頑丈な特注品を使っているんですが、“その特注品を壊したのは、あの2人だけ”と聞きました」(同)

 踏み込む力が、両雄の桁外れのスイングを生んでいるのだろう。また、打撃だけでなく、現地での振る舞いが評判を呼んでいるのも共通している。

 大リーグ評論家の福島良一氏も、こう語る。

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