「落語は多様な生き方を肯定してくれる世界なんです」露の新幸「ライブハウスから落語家への巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
露の新幸

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■音楽をこよなく愛する男性が四十代を前に落語家の弟子に!

 テンポのよい語り口で人気の落語家、露の新幸さん(47)は、なんと、ライブハウス経営者から39歳で落語家に転身したという異色の経歴を持つ。

「一時期はライブハウスの店長と、音楽専門学校の講師、落語家という三足のわらじをはいていました。初舞台の日がオールナイトライブと重なってしまい、死ぬかと思いましたよ」

 音楽に目覚めたのは高校時代。佐野元春に強く影響を受け、プロのシンガーソングライターを目指した。のちに男性2人組のロックユニット『フリーク』を結成。デビューを目指し、デモテープを作り、手あたり次第「音楽関係と思わしき場所へ郵送しまくった」という。

「スタジオの住所を片っ端から調べ、間違えて写真スタジオにまで送ってしまいました(苦笑)」

 努力の結果、ついに26歳でメジャーデビューが決定。夢がかなう、はずだった。ところが……。

「同時期に妻が妊娠しまして。いわゆる、デキちゃった結婚です。“妻が身重な時期に上京は難しい”と判断し、僕だけ、大阪に残ることにしました」

●初めて行った寄席で落語に魅せられて…

 結果、『フリーク』はCD1枚をリリースしたのみで空中分解。路頭に迷っていたところ、「音楽専門学校の講師をやらないか」と誘われた。以来10年にわたり教壇に立ち、アーティストの卵たちを育てた。そんな彼に、さらに転機が訪れる。

「当時、ギタリストとしても10以上のバンドを掛け持ちしていました。移動だけで疲れ果てましてね。“いっそ自分でライブハウスを経営すれば、バンドメンバーのほうから、こっちに来てくれるやろ”と思い、日本橋にライブBAR『太陽と月』をオープンしたんです」

 講師業と演奏活動を続け、ライブハウスの店長も務める。音楽漬けの日々を生きる彼が、いったい、なぜ落語家に?

「ライブのMCが、けっこうウケていたんです。そんなある日、お客さんから“私が主催する落語会に出演してほしい”と依頼されましてね。“落語って、ちゃんと観た経験がないな”と思い、初めて天満天神繁昌亭へ行ったんです。そこで、人生が変わりました。露の新治師匠の高座を観て衝撃を受け、一瞬で“俺、落語家になるわ!”。そう決めたんです」

 これまでの人生が噺のマクラだったかのように、一気に落語にのめり込んだ彼。39歳の弟子入り志願者に戸惑った新治師匠も本気ぶりを認め、入門を許した。

 そうして現在、リズミカルな落語で人気を博している。さらに同じくミュージシャン出身の桂りょうばと『てれすこボーイズ』を結成。音曲ネタにも挑戦中だ。

「音楽畑から来た僕を受け入れてくれた落語は、いろんな人の生き方を肯定してくれる世界。これからも、聴いて温かい気持ちになれる噺をしていきたいですね」

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

吉村智樹のこの人、どエライことになってます!

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