■パ・リーグの4番打者は…
一方のパ・リーグは、額面通りの“4番打者”として真価を発揮しているのは、西武・山川穂高(30)ぐらい。
5月27日のDeNA戦では、勝負を避けられ、4打席連続四球。スイングも、わずかに2回だけだった。
「こういう場面で、きっちり我慢ができるというのも4番の大事な資質の一つ。僕にも経験はあるけど、打ち気にはやってボール球に手を出せば、間違いなくスイングは崩れていく。カッカせずに、“俺のこと、ビビってやがるな”くらいに思えるか否か。その点、今年の山川は、ちょっと手がつけられない状態だよね」(前出の山崎氏)
そんな“どすこい砲”復活は、打撃時の軸足の使い方にも如実に表れているという。
「軸となる右足に体重が乗って、しっかりタメが作れているのが大きい。調子が悪いときほど、上げた左足が早く地面に着く。時間にすれば、コンマゼロ何秒だけど、それこそが打者の生命線でもあるからね。加えて今季は、追い込まれてから微妙に打ち方を変えたり、率を残す工夫もしてるよね」(前同)
他方、パ・リーグ2強の楽天とソフトバンクは、ともに本来入るべき、真の4番が不在という状況。
とりわけ、昨季も4番で打点王を獲った楽天の島内宏明(32)は、自ら「外してほしい」と公言するほど、4番の柄ではないタイプだ。
「DH制のパ・リーグは、MLB流の“2番最強説”に近い打順の組み方をすることが多いですけど、僕は“4番目の打者”みたいな考え方は大嫌い。重圧を楽しみながら、プライドを持って試合に臨む。現役当時、球場に入った瞬間から、それを自分に言い聞かせていた立場からすれば、その覚悟がないなら出るなよって言いたくなるよね」(同)
むろん、新外国人のマルモレホスが期待通りの活躍を見せれば、石井一久監督も、3番・浅村栄斗の後の4番には彼を据えたはず。
ソフトバンクのほうも、栗原陵矢の離脱がなければ、4番は柳田悠岐(33)だっただろう。
「日本人選手は追い込まれると、ミート重視で反対方向への意識が強くなるけど、外国人選手は基本的にスタイルを変えない。一歩間違えばスタンドに運ばれる危険性がある反面、投手からすれば、ブンブン振ってくる彼らのほうが実は御しやすい。島内みたいなクセ者のほうが嫌な打者ではあるね」(前出の藪氏)