毎日のように報じられる価格改定のニュース。働いても働いても生活が楽にならないのは、どうしてなのか。
日銀の黒田東彦総裁の発言が、波紋を呼んでいる。
「6月6日の講演で、“家計の値上げ許容度も高まってきている”と発言。日銀が目指す2%の物価目標の達成のために“重要な変化と捉えることができる”と続けたんです。すぐに非難され、翌日には報道陣の前で、“誤解を招いた。申し訳ない”と謝罪に追い込まれました」(経済誌記者)
実際、国民は値上げを許容するどころか、生活の危機を迎えている。
帝国データバンクによると、主要食品メーカーは7月以降に4504品の値上げを計画中という。すでに値上げされたものを含めると、年内の値上げは1万品を超え、価格は平均13%アップするという。経済評論家の加谷珪一氏が言う。
「これまでは、何か値上げされても、価格が据え置かれた他のものを選べました。ところが、今回の値上げには逃げ場がありません。あらゆる品物が対象になっているからです」
そこで今回は、食品や日用品から、外食や各種サービスに至るまで、日本を襲う“値上げ地獄”の全貌に迫った。
■原油高騰、ウクライナ情勢、円安のトリプルパンチに見舞われ
そもそも、なぜ異常な価格高騰が続いているのか。
「まず新興国の経済成長により、原油の需給バランスが崩れていたところに、コロナ後の景気回復への期待が加わり、昨年末に原油価格が高騰したのが発端です」(前同)
加谷氏は続ける。
「原油が上がると、輸送費などが上昇し、食料品が値上がりします。そこにロシアのウクライナ侵攻が始まり、日本と欧米との金利差で円安が進みました。つまり、日本は原油高騰、ウクライナ情勢、円安というトリプルパンチに見舞われたんです」
さらに自然の猛威が拍車をかけた。経済評論家の杉村富生氏が説明する。