関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■ミュージシャンが撮った映画のリアルさに業界関係者は騒然!?
ミュージシャン自身が監督し、音楽業界の裏側を赤裸々に描く衝撃の映画が誕生した。『ディスコーズハイ』は大阪を拠点に活躍するバンド『ウパルパ猫』のギターボーカル「おかもし」こと岡本崇さんが監督した初の劇場公開作品。
レコード会社の内部事情を知る彼が実情を明かすとあって、業界関係者は戦々恐々。話題騒然となっているのだ。
「約束したのに手のひらを返されたり、売り上げに翻弄されて音楽性を変えられたり、レコード会社の社員なのに音楽を愛していなかったり、さまざまな現場に立ち会ってきました。この映画では、自分が見てきたものを、そのまま描いたつもりです」
主人公は田中珠里演じる、売れないバンドを担当する音楽事務所の社員、瓶子撫子。ライバルは下京慶子演じる、手掛けるバンドを次々とブレイクさせる優良社員、別久花。
瓶子は、ついに「バンドにかける予算はない。0円でミュージックビデオを撮影しろ」と命じられる。
ライバルの別久に挑発されながらも、自らカメラを手に撮影を始めるのだが、なんとボーカリストが失踪。彼女の運命やいかに! コメディタッチで描かれているが、事態は切実だ。
「僕自身、音楽業界の裏方をやっていて、担当するバンドが売れなかった経験があるんです。メジャーのレコード会社から大々的に売り出したのに、蓋を開けてみたらCDが1000枚も売れない。いつしかCDは出せなくなり、東京へ行く交通費も自腹になりました。あの日の悔しさを主人公の瓶子に投影した部分はあります」
■有名俳優に作品を激賞され一念発起!
問題作『ディスコーズハイ』の注目すべき点は、ストーリーだけではない。監督の彼が撮影までやっているのだ。ドラマチックなドローン撮影はお見事。多才ぶりに驚かされる。実は、撮影の技術も音楽活動の中で得たものだという。
「ミュージックビデオの予算って、ピンキリなんです。1000万円かける作品もあれば、5万円しかない場合もある。しかし、ハンディカメラで撮った低予算の作品でも、素晴らしいものはたくさんある。“だったら自分でも撮れるのではないか”と思い、カメラの勉強を始めました」
そうして数本の短編映画を撮り、映画祭に出品したところ、俳優の津田寛治が激賞。「次回作は、いつ撮るの?」と聞かれ、劇場公開作品に挑戦する決意を固めたという。
「ポンコツな人たちが、窮地に陥ったときに意外な才能を発揮する映画です。才能は自分では気づかないところにもある。自分には才能がないと悩んでいる人に観てほしいです」
7月8日(金)より、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。関西のライブハウスで活躍するアーティストが、大挙出演している点も見どころだ。
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