■主演以上に輝くサブライダーたち

 その後も15作目の佐野岳(30)が“葛葉紘汰/仮面ライダー鎧武”を演じた『鎧武(ガイム)』(13年)では高杉真宙が“呉島光実/仮面ライダー龍玄”という「悪い大人の格好の餌食になる、賢く立ち回ってるつもりの“悪い子ども”」を好演。当初は死亡案もあったが生き延びた結果、

「今の自分が許せないなら新しい自分に変わればいい」「人生は何度も間違えるけど、そのたびにやり直して少しずつ進む」

 という作品のメッセージを強く感じさせるキャラクターとなった。放送当時はやらかした所業から光実が死なずに終わったことに難色を示す視聴者もいたが、後日談となる映画や小説では本当の意味で「正義のヒーロー」として成長した光実の姿が描かれており、再評価されている。

ちなみに平成ライダーでは異例の「最初から結末を決めて作った作品」のため、多くの伏線が張られている

「19作目の『ビルド』(18年)で主人公の“桐生戦/仮面ライダービルド”(犬飼貴丈)の相棒で2号ライダーの“万丈龍我/仮面ライダークローズ”として1年間駆け抜けた赤楚さんや、17作目の『ゴースト』(15年)で途中までは敵側の人間だったのが老婆との交流と死を経て知りで改心して主人公たちの味方になった“アラン/仮面ライダーネクロム”を演じた磯村勇斗さん(29)などなど、本当に魅力的なキャラばかりです。

 主役ライダーではやりづらい描写やキャラ設定などでキャラに深みが与えられている部分もあると思いますが、こうして役者の名前を見ていると、最近の売れ筋は主役よりサブライダーなのかもしれませんね」

■令和ライダーにも期待

 ちなみに、19年の『ゼロワン』からスタートした「令和ライダー」ではいまのところ『ゼロワン』主演だった“飛電或人/仮面ライダーゼロワン高橋文哉(21)と、3号ライダーの“刃唯阿/仮面ライダーバルキリー”を演じていた井桁弘恵(25)がブレイクしつつある。

「9月からは、最新作『仮面ライダーギーツ』が始まります。本作は多人数のライダーが“生き残りゲーム”をする、という前情報や脚本担当の高橋悠也氏の“生き残らないライダーもいる”というコメントなどから大いに注目を集めていますが、キービジュアルから最低でも7人以上の仮面ライダーが登場することが分かる。この中から、後の大スターが生まれるんでしょうね」

18年に『オリコン』インタビューで武部直美プロデューサーは、

《テレビ朝日さん含め色々な人がオーディション審査をしていますが、「この中で多数決で一番」という相対値ではなくて、「1年間番組を背負える魅力のある人」という絶対値で選考していますから、満場一致で決まる人は本当にいないんです。該当者なしというオーディションはよくあります。》

 と話しており、実に厳正な審査の結果選びに選び抜かれた役者こそ“仮面ライダー俳優”存在なのだとわかる。

 スターへの切符をつかんだ仮面ライダー俳優たち。彼らの将来に期待したいー-。

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